韓国ドラマ『エージェントなお仕事』は、当初はキラキラな韓国ドラマなのかと思って観ていたが、しだいに登場人物の性格付けに魅かれ、毎回が楽しみになっていった。
毎話、有名な俳優が実名で出てくるのもうれしかったが、いろいろ身につまされたのが、俳優マネジメント会社メソッド・エンターテインメントのスタッフたちのキャラクターと境遇だった。
■『ウ・ヨンウ弁護士』トン・グラミと『エージェントなお仕事』ヒョンジュ
第1話でおやっと思ったのは、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で主人公ウ・ヨンウ(パク・ウンビン)の親友トン・グラミを演じたチュ・ヒョンヨンが、釜山からソウルに上京してきた純朴な娘ヒョンジュを演じていたことだ。
個性的なトン・グラミの印象が強過ぎたせいか、本作のヒョンジュはあまりにおとなしく、最初は「こんな使い方、もったいない!」と思ってしまった。しかし、回を重ねるうちに、出生の秘密に悩み、上司たちとの板挟みに悩む姿が可愛らしく見えてきて、最終回では完全に釜山でモリバン(머리방=美容室の野暮ったい言い方)を営むヒョンジュの母親(キム・ヨンア)目線になってしまった。
俳優が脚光を浴びた作品のキャラから軌道修正すると、失敗する場合と成功する場合があるが、チュ・ヒョンヨンはこの2作ですでに演技の幅を広げることに成功したように見える。かといって美人ヒロインタイプではないので、次作ではまたぶっ飛んだチュ・ヒョンヨンを見てみたい。
■『エージェントなお仕事』真の主人公は男勝りなあの人!
本作はヒョンジュだけでなく、魅力的なキャラクターの宝庫だった。
仕事や家庭の問題に苦悩する姿が母性本能をくすぐり、とても50歳過ぎには見えないイ・ソジン扮するマ・テオ理事。2000年にゲイであることをカミングアウトとした俳優ホン・ソクチョンを思い出させる中性キャラのジニョク(キム・テオ)。高慢だが不思議な色気のあるク・ヘジュン新代表(ホ・ソンテ)などなど。