■暗い時代に笑いを届けたパク・チュンフン
パク・チュンフン(1966年生まれ)は、『TSUNAMI―ツナミ―』(2009年)でオム・ジョンファの元夫を演じたり、『逮捕王』(2011年)でイ・ソンギュンと共演したりしているので、最近の韓流ファンにも顔は知られているだろう。
1980年代後半から1990年代後半にかけては、今の韓流スターとは比べ物にならないくらい突き抜けた存在だった。我が国はようやく民主化が成ったとはいえまだ混乱期だったが、”顔面アクション俳優”とでもいうべき彼の豊かな表情やコミカルな演技で心を癒した人も多かった。
なお、2014年の映画『私の愛、私の花嫁』(シン・ミナ&チョン・ジョンソク主演)は、もともとパク・チュンフンとチェ・ジンシル主演の同名映画(1990年)のリメイクである。
■1990年代後半の集客王、ハン・ソッキュ
1990年代から韓国映画を観ている人にとっては、今の韓流ファンのあいだでハン・ソッキュ(1964年生まれ)の認知度が低いことが残念でならないだろう。今でいえばソン・ガンホに匹敵するスーパースターだった。美男とはほど遠い隣のお兄ちゃん的風貌だが、1990年代後半から2000年にかけては、”興行の保証手形”とか”忠武路(当時の映画業界の俗名)のすべてのシナリオはハン・ソッキュを通過する”といわれるほど観客動員力を誇っていた。
韓国の転換期ともいわれる2002年のワールドカップ以降、わかりやすい美男や華のある俳優が脚光を浴び始めると、動員力に陰りが見られたが、日本の韓国映画ファンのあいだで今も語り継がれる映画『八月のクリスマス』(1998年)のジョンウォン役は今も色あせず、撮影地の全羅北道・群山には多くのファンが詰めかけている。