■純情青年から悪の権化へ、大胆に変身したチェ・ミンシク

 チェ・ミンシク(1962年生まれ)は、前記のハン・ソッキュの大学の先輩に当たる。二人が共演した下町人情ドラマ『ソウルの月』(1994年)は50%近い視聴率を記録した。このドラマで演じた地方出身の純情青年のイメージが強かったが、『クワイエット・ファミリー』(1998年)の愚鈍な男役、『ハッピー・エンド』(1999年)のIMFで会社を首になり妻(チョン・ドヨン)に浮気される夫役、『シュリ』(1999年)の北朝鮮工作員役、『ラブレター パイランより』(2001年)の半人前のヤクザ役などを経て演技の幅を広げることに成功。

 この10数年は、『オールド・ボーイ』(2003年)、『親切なクムジャさん』(2005年)、『悪魔を見た』(2010年)、『悪いやつら』(2011年)、『ザ・メイヤー 特別市民』(2016年)などですっかりダーティな役が板につき、韓国ノアール映画には欠かせない存在となっている。

 なお、チェ・ミンシクが25年ぶりに出演したドラマ『カジノ』(全16話)が、現在ディズニープラス「スター」で配信されている。脚本と演出は映画『犯罪都市』のカン・ユンソン監督。キャストはドラマ『私の解放日誌』のソン・ソック、『恋のスケッチ~応答せよ1988~』映画『エクストリーム・ジョブ』のイ・ドンフィなど。

(「2000年前後」編に続く)