■20年間トップを走り続ける、帝王ソン・ガンホ
ソン・ガンホ（1967年生まれ）は、イ・チャンドン監督の長篇デビュー作『グリーン・フィッシュ』（1997年）での下衆でコミカルなヤクザ役が話題になり、『クワイエット・ファミリー』（1998年）、『シュリ』（1999年）などを経て、『反則王』（1999年）で初主演。2000年の『JSA』、2003年の『殺人の追憶』でスターの座を決定的なものにした。
当初は、ライバル、ソル・ギョングの劇画的演技、ソン・ガンホの漫画的演技という住み分けがあったが、2006年の『グエムル-漢江の怪物-』や2007年の『シークレット・サンシャイン』で劇画的な演技でも説得力を感じさせるようになり、ソル・ギョングやチェ・ミンシクとのトロイカ体制からソン・ガンホが一歩リードするかたちとなった。
その後も活躍は続き、ついには主演作『パラトイト 半地下の家族』（2019年）で米国アカデミー作品賞を、『ベイビー・ブローカー』（2022年）でカンヌの主演男優賞を獲り、国際的なスターとなっている。
2023年の1月6日には、イ・ビョンホンやチョン・ドヨン、キム・ナムギル、イム・シワンらと共演した映画『非常宣言』が日本で公開される。
■青春スターから演技派へ華麗に変身したイ・ビョンホン
チョン・ドヨンと共演した映画『我が心のオルガン』（1999年）の初々しい田舎教師役に象徴されるように、1990年代は青春スターのイメージが強かったイ・ビョンホン（1970年生まれ）。
当時は今のような演技派に成長するとは正直思えなかったが、その後、イ・ヨンエやソン・ガンホと共演した映画『JSA』（2000年）、チェ・ジウと共演したドラマ『美しき日々』（2001年）、ソン・ヘギョと共演したドラマ『オールイン 運命の愛』（2003年）、シン・ミナと共演した映画『甘い人生』（2005年）、ソン・ガンホやチョン・ウソンと共演した映画『グッド・バッド・ウィアード』（2008年）などを経て、演技の幅を広げることに成功した。
イ・ビョンホンは、近年のドラマ『ミスター・サンシャイン』（2018年）や映画『KCIA 南山の部長たち』（2020年）では円熟味を強く印象付けた。
1970年生まれ（ファン・ジョンミン、チャ・スンウォン、イ・ジョンウンも同い年）で、一昨年に50代になったので、これからは渋い役専門になるのかなと思いきや、2022年のNetflixドラマ『私たちのブルース』では、これまでのクールな役柄からは想像もつかない粗野な行商人に扮し、その演技力がさらに評価された。
（2000年前後〈後編〉につづく）
