韓国のドラマや映画が国際的に脚光を浴びるようになって20年が経過したのを機に、時代ごとに輝きを放った名優たちの活躍を振り返る企画。その3回目は2000年前後に活躍が目立った俳優編の後編、イ・ジョンジェ、チョン・ウソン、パク・ヘイル、ペ・ドゥナを取り上げる。
■『イカゲーム』で世界的ブレイクのイ・ジョンジェ、じつはキャリア豊富なスター
イ・ジョンジェ(1972年生まれ)はモデル出身。1995年に最高視聴率64.5%を記録した伝説のドラマ『砂時計』でコ・ヒョンジョンの寡黙なボディガード役に抜擢された。当時は演技力が評価されていなかったので、セリフの少ない役が与えられたともいわれている。
しかし、ミラー効果とでもいうべきか、共演者を光らせる特異な才能をもっている。キム・ユンソクやキム・ヘスらと共演した『10人の泥棒たち』(2012年)やファン・ジョンミンと共演した『新しき世界』(2012年)などはそのいい例だ。
エミー賞主演男優賞を獲った世界的ヒットドラマ『イカゲーム』(2021年)で彼を知った人にはピンとこないかもしれないが、映画でもドラマでも二枚目役が圧倒的に多かった。
クールなイ・ジョンジェを堪能したいなら、イ・ミスクと共演した映画『情事』(1998年)、チョン・ジヒョンと共演した映画『イルマーレ』(2000年)、チョン・ドヨンと共演した映画『ハウスメイド』(2010年)などがおすすめ。逆にダメ男の演技が見たければ、キム・ミニと共演した映画『純愛譜』(2000年)が必見だ。
■男にも好かれる稀有なイケメンのチョン・ウソン
チョン・ウソン(1973年生まれ)は1990年代青春スターの一人ではあるが、型破りな役柄が似合い、高身長のイケメンでも男から嫌われない稀有な俳優である。
けっして裕福とはいえない家庭の育ちで商業高校中退の苦労人。そのせいか、社会問題に対する意識が高く、政治的な発言も多い。ときには物議をかもしたりする。
ソン・イェジンと共演した映画『私の頭の中の消しゴム』(2004年)は、韓流の風が吹き始めたばかりの日本で大ヒットし、その興行収入は2020年に公開された『パラサイト 半地下の家族』に抜かれるまでは歴代1位だった。屋台でソジュを飲みながらソン・イェジンと熱い口づけを交わす場面は、韓国映画史に残るキスシーンと言われている。
最近のおすすめ映画は『鋼鉄の雨』(2017年)。チョン・ウソンは韓国側の情報要員(クァク・ドウォン)とクルマで北から南に移動する北朝鮮側情報要員に扮した。呉越同舟の二人がイデオロギーを越えて心を通わせていくシーンは大変見もので、涙を止めることができなかった。