■俳優たちの巧みな地方訛り、方言上手は演技派の証

 イ・ジョンウンは『弁護人』では釜山女性を演じたが、同じくソン・ガンホの主演作『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年)では全羅道訛りの光州女性に扮していた。そして、『パラサイト 半地下の家族』(2019年)では北朝鮮アナウンサーの物まねで大いに笑わせてくれた。

 しかし、彼女の故郷は釜山でも光州でも北朝鮮でもない。ソウル出身である。演技派と呼ばれる俳優であれば、方言も器用にこなさなければならないのだ。

 なお、ソン・ガンホは釜山の西隣の金海(キメ)出身なので、『弁護人』での釜山訛りは本物である。また、チョン・ドヨンと共演した映画『シークレット・サンシャイン』(2007年)の舞台・密陽(ミリャン)は金海の北に接しているので、これまた本物と言ってよいだろう。

 日本では関東人が関西で大阪弁を真似たりすると嫌がられると聞いたが、釜山ではそんなことはない。おおらかに笑って受け入れてくれるので、日本の人も釜山を訪れたら積極的に釜山弁を真似してみよう。

釜山港国際旅客ターミナルの風景。写真奥の左手が日本の下関と結ばれる釜関フェリー、奥の右手が大阪と結ばれるパンスターフェリー、右手前が福岡と結ばれるビートル号。いずれも昨年後半に運航が再開されている

●釜山とその隣接地域出身の有名人 ※()内は肩書

クァク・キョンテク(映画監督)、コン・ユ(俳優)、カン・ドンウォン(俳優)、イ・ジュンギ(俳優)、チョン・ユミ(俳優)、オ・ダルス(俳優)、リュ・スンス(男優)、キム・ヘスク(女優)、キム・ヘス(俳優)、ユ・ジェミョン(俳優)、カン・ハヌル(俳優)、ナム・ジュヒョク(俳優)、チョン・ヨンファCNBLUE(歌手)、イム・シワン(俳優)、ジョン・ヨンファCNBLUE(歌手)、JIMINBTS(アーティスト)、JUNG KOOK/BTS(アーティスト)