東京の都営新宿線「菊川」駅前のミニシアター「Stranger」で、3月31日(金)からチャン・リュル監督の5作品が上映される。

 日本ではパク・ヘイルシン・ミナ主演の『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』の監督というイメージが強いが、ここ数年は日本でも映画を撮っている。

 チャン・リュル監督の映画は、どこかの田舎町にふらっと出かけたくなるような旅情豊かな作品ばかりだが、旅先でこんな人に出逢ってみたいと思わせる個性的な俳優陣も魅力的だ。

 ここでは、公開される映画5作品を紹介する。

ハン・イェリヤン・イクチュン主演『春の夢』 

 ソウルタルトンネに住む元ヤクザのイクチュン、脱北者のジョンボム、持病のあるジョンビン。スペック競争とは縁がなさそうな中年男3人組が脱北者イェリの飲み屋に入り浸ったり、町を徘徊したりする物語。

 イクチュン役に、映画『息もできない』やNetflix地獄が呼んでいる』のヤン・イクチュン。ジョンビン役に『工作 黒金星(ブラックヴィーナス)と呼ばれた男』や『悪いやつら』を撮った映画監督ユン・ジョンビン屋台のような酒場を営むイェリ役に『ミナリ』や『ハナ 奇跡の46日間』のハン・イェリなど、タルトンネの住人として説得力を感じさせる佇まいの役者たちが見ものだ。

『春の夢』の主人公たちがデジタルメディアシティに映画を観に行くときに通ったトンネル
『春の夢』の主人公たちが映画を観たデジタルメディアシティの韓国映像資料院

パク・ソダム主演『福岡

 韓国の古書店主人ジェムンが、店の常連であるミステリアスな女性ソダムとともに福岡を旅する。福岡には旧知の友人ヘヒョがいて、3人は酒を飲んだり、おしゃべりしたりしながら街をほっつき歩く。

 ジェムン役に、過去ソン・ガンホソル・ギョング、パク・ヘイルらトップ俳優の敵役を演じてきたユン・ジェムン。ソダム役に『パラサイト 半地下の家族』でギウ(チェ・ウシク)の妹を演じたパク・ソダム。ヘヒョ役に『冬のソナタ』のキム次長役でおなじみのクォン・ヘヒョなど。

 3人が無為な時間を過ごす酒場の空気が凛としていて大変心地よく、自分もそこで飲んでいるような気持ちになる。