2020年2月某日の昼下がり、ソウルでマート飲み(雑貨屋の店頭で乾き物などをつまみに飲むこと)をしていると、テレビから映画『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞の4部門を受賞したとの朗報が流れた。その日に散策を予定していたコースにこの映画のロケ地が含まれいたこともあり、思わずガッツポーズをした。

 そのコースとはソウル駅を基点とし、その西側から地下鉄2号線・5号線の忠正路(チュンジョンノ)駅周辺のエリアだ。

■ソウル駅西側エリアの散策コース、レトロ感漂う街並みを楽しむ

 旧ソウル駅舎である文化空間「文化駅ソウル284」の脇から「ソウル路7017」を通って、ソウル駅の西側エリアへ移動する。

 ソウル駅から徒歩10分足らずの距離にも拘わらず、日本家屋や古い韓屋をリノベーションしたカフェ、再開発で立ち並ぶマンション群の足元にクリーニング店や小さなマートなどレトロ感が漂う懐かしい街並みが残されている。

 坂を上っていくと、見えてきたのが「孫基禎(ソン・ギジョン)記念館」。養正中高等学校出身の孫基禎は、1936年に開催されたベルリンオリンピックでマラソンの金メダリストとなった選手。同校が1988年に木洞(モクトン)に移転後残された建物は、創立100周年を迎えた2012年に彼の功績を称えた記念館としてリモデルオープンした。

 あいにく休館日で内部を見学できなかったが、ソウル未来遺産にも登録されている近代建築なので、趣のある外観を見るだけでも楽しめた。

ベルリンオリンピックのマラソンの金メダリストを称えて開館した「孫基禎記念館」