■2つの特産品を融合させたご当地グルメ

 原州の西部には雉岩山(チアクサン)がそびえており、その北部には原州8景のひとつで、義湘大師が688年に創建した亀龍寺(クリョンサ)という寺院もある。

雉岳山にあり原州8景のひとつである「亀龍寺」の本殿(大雄殿)

 この雉岳山(チアクサン)の斜面で育てられた肉質の良い韓牛と麓で栽培される糖度の高い桃は、ともに原州の特産品である。

 桃の酵素に漬け込んだ韓牛を「桃プルコギ」として提供しているという食堂を訪ねた。

 精進料理家である料理長の作るパンチャン(おかず)は、大変手が込んでいる。梅、ハリギリ、タンポポなど5種類のチャンアチ(酢醤油漬け)は、どれも食材の食感が活かされていた。

 サラダのドレッシングには、春に収穫したアカシアの花が使われている。

「とても良い香りがして気分が高揚しますので、よく混ぜて召し上がってください」との説明通り、芳醇な香りと美味しさに幸せな気持ちになった。

「桃プルコギ」を提供する食堂はパンチャンも手が込んでいる

 パンチャンをつまんでいると、テーブルのコンロに炭火が配され「桃プルコギ」が登場。炭火で香ばしく表面を炙った韓牛をスライスした玉ねぎやビーツ、青唐辛子と共に口へ運ぶ。桃の酵素の効果で韓牛の肉質はさらに柔らかくなり、ほのかな桃の甘みを感じられる。

「桃はもともと神が食べるものといわれていたそうです」と店主が教えてくれたが、韓牛と桃という原州の2つの特産品の融合を楽しみながら、天にも昇るほど至福の時間を過ごした。

「桃プルコギ」は桃の酵素により韓牛の肉がさらに柔らかくなりほのかな甘さも楽しめる

●原州へのアクセス

ソウル清凉里(チョンニャンニ)駅から原州駅までKTX(韓国高速鉄道)で約50分。または、東ソウルターミナルから原州市外バスターミナルまで1時間30分。