ロマンス&コメディの王道ツンデレ『油っこいロマンス

 そして、王道ツンデレキャラを開花させたのは、『油っこいロマンス』(2018年)だ。腕利きのシェフ、ソ・プンに扮したジュノは、不屈の精神と料理への熱き魂を持った男の“本気”を真っ直ぐに表現。

 一方で、ロマンスパートでは、チョン・リョウォン演じる天真爛漫お嬢様のヒロイン、セウに対し、典型的ツンデレ節を炸裂させる。セウが風邪を引けば、「休め、俺にうつすな」と気遣いつつ冷たいふりをし、料理の特訓中、近づきすぎる彼女に「近づくな、離れろ」と言いながら胸はドキドキするプン。

 冷酷になればなるほど彼女への「好き」を感じるという、ある種わかりやすいキャラが愛らしく、思わずにんまり。 “ロマンス”と“コメディ”の両面の才を生き生きと輝かさせている。

■“恋する世子”で百想芸術大賞2冠!『赤い袖先

 極めつきは、大ヒット時代劇ロマンス『赤い袖先』(2021〜2022年)で演じたイ・サンだろう。数多くの俳優たちが演じてきた稀代の名君イ・サンに新たな魂を吹き込んだジュノ。王になる者のカリスマ性をまといながら、孤独と葛藤、人知れず努力する姿を真に迫る演技で見せ、百想芸術大賞で最優秀男性演技賞と人気賞の2冠に輝いたほどだ。

 なにより多くの視聴者をときめかせたのは、“恋する世子”としての人間的でロマンチックな側面。ヒロイン、ドギム(イ・セヨン)の姿が見えないとやきもきし、会えば会ったでつい意地悪を言ってしまう。ツンとデレが行き来し、あげく「お前は私のものだ」と言い放つ。威厳を含んだツンデレキャラで、沼落ち必至の魅力に溢れていた。

 ちなみに、ジュノに『赤い袖先』について編集部がインタビューした際、「サンは常にドギムに対して、告白らしくない告白をする。それがとてもときめいた」と語っている(『韓国TVドラマガイド』vol.99より)。

『赤い袖先』(C)2021MBC