恋のスケッチ~応答せよ1988~』の天才棋士役で大ブレイクしたパク・ボゴムが、朝鮮王朝世子イ・ヨンを演じた『雲が描いた月明り』。幼い頃から男装し宮仕えするサムノム(キム・ユジョン)との切ない恋に心を揺さぶられたファンも多いだろう。

 このドラマの見所の一つが、色とりどりのランタンが夜空に舞い上がる幻想的な風燈祭のシーンだ。撮影が行われたのは全羅南道順天(スンチョン)にある「楽安邑城(ナガンウプソン)」。

■パク・ボゴム主演『雲が描いた月明り』のロケ地、順天の「楽安邑城」

「楽安邑城」は、朝鮮王朝時代初期に倭寇の侵略から村を守るために土城として築かれ、1626年に赴任した郡守により石を積み重ねた城郭に改修された。その城内外には210軒あまりの藁葺き屋根の家屋が現存し、200人余りの住民が農作業をしながら生活する「生きた民族村」だ。

 村の中央にある城壁に上ると、そこから村を一望できるとともに、たくさんの藁葺き屋根とその背景の山並みとの調和も楽しめる。この城碧は、『最愛の敵~王たる宿命』にも登場する。

韓国三大邑城のひとつ「楽安邑城」は村全体を一望できる城郭の上からの眺望が最高

 韓国南西部に位置する順天(スンチョン)は、KTX(韓国高速鉄道)が停車し交通の便が良いこと、また見所が多いことから、麗水(ヨス)と並んで全羅南道の中でも人気が高い。

 観光スポットのひとつに「順天ドラマ撮影場」がある。1960~80年代にソウルに実在したタルトンネ(月が届くほど高い急斜面に家が密集した村)を再現した撮影場で、『パチンコ』『製パン王キム・タック』をはじめ数多くのドラマや映画の撮影に使われた。

 また、順天北西部の曹渓山(チョゲサン)にある仙巌寺(ソナムサ)もお勧めしたい。創建された時期については、百済時代、新羅末期、統一新羅時代と諸説あるが、2018年6月に「韓国の7つの山寺」の一つとして、ユネスコ世界文化遺産に登録された。

 駐車場から25分ほど緩やかな坂を上っていくと見えてくる昇仙橋(スンソンギョ)。このアーチ型の橋の下から降仙楼(カンソンヌ)という楼閣が見える光景が素晴らしく、写真に収める観光客も多い。

「仙巌寺」の参道にある昇仙橋はその下に見える降仙楼を含め人気のフォトスポット