そんな苦労の末ようやく到着した菩提庵は、683年に元暁大師が創建。訪問経験のある江華島の普門寺、襄陽の洛山寺とともに「韓国3大海水観音聖地」と呼ばれている。
伽耶のキム・スロ王妃がインドから持ち帰った石で作ったという三層石塔と並んで、海に向かって立つ海水観世音菩薩が凛々しい。観音菩薩の目線で眼下を見ると、半島の先に広大な南の海が広がり心が洗われるようだ。
せっかくなので、華厳峰(ファオムボン)という巨大な岩がある場所まで上ってみた。そこからは、連なる峰が水墨画のように見え息を飲むほど美しかった。
山神閣に上る階段の下の洞窟の中には、小さな仏様が祀られているので、忘れずに参拝してほしい。アクセスのハードルの高さがネックではあるが、見所満載で十二分に訪問する価値のある寺院である。
菩提庵から戻り、三度南海伝統市場へ向かった。ネットで見つけたスンデ(腸詰)クッパを出す食堂は、昼時ということもあり満席で、なかなか注文すら聞いてもらえないほどの人気店だった。1人で来店したハラボジ(おじいさん)と対角線状に相席するよう促された。
入口に掛けられたバラがプリントされたビニール暖簾がなんとも韓国らしい。
しばらくしてようやく出てきたスンデにはにんじんや玉ねぎなどの野菜がたっぷり入り、肉とのバランスがよく私が大好きなタイプだ。味わい深いスープも含めて我が人生最高のスンデクッパとなった。
●南海へのアクセス
ソウル南部バスターミナルから南海バスターミナルまで約4時間30分。
釜山西部(沙上)バスターミナルから約2時間30分。