『太王四神記』でペ・ヨンジュンが扮した広開土大王(クァンゲトデワン)が国王だったのは391年から413年までであった。当時の詳細な資料をもとにロケ用の王宮が造られたという。それでも、工事中にただ実感したのは、「一つのドラマのためにここまで大規模に王宮を造ってしまう迫力」だった。

 一方、第二ロケ地のほうでは、砦、競技場、村里が再現されていた。高句麗は勇壮な騎馬軍団を抱えていたが、その根拠地となるのが砦であり、兵士たちが競い合ったのが競技場であった。

『太王四神記』の第二ロケ地に造られた施設(2006年12月/撮影キム・ジョンウォン)

 こうして完成した二つのロケ施設を最大限に生かして2007年に『太王四神記』は制作されて、韓国MBCでの放送時には30%以上の視聴率を挙げて大ヒットした。

「まさか『太王四神記』がペ・ヨンジュンの最後の主演作になるとは思わなかった」

 それが率直な感想だ。彼が俳優として劇的にカムバックする可能性はゼロではないが、現実的には「ほとんどないだろう」と思わざるをえない。

『太王四神記』以後も、多くの韓国ドラマが済州島でロケをしている。その記事を読むたびに「ロケに参加した俳優たちはアワビ粥を食べただろうか」と思ってしまう。ペ・ヨンジュンが愛したように、多くの俳優がアワビ粥を堪能してくれたらそれだけで嬉しい。