ソル・ギョングチョ・ジヌン主演で2019年に公開された映画『パーフェクト・バディ 最後の約束』を配信で観た。

 やや詰め込み過ぎの感はあるものの、1980年生まれの若い監督の作品とは思えない、いい意味で泥臭い作品だったこと。大好きな俳優ソル・ギョング愛に満ちた作品であること。釜山が舞台であることなどから、楽しく鑑賞できた。華やかな韓国エンタメが脚光を浴びがちなこの時代に咲いた “野暮の花” とでもいうべきこの作品の魅力をお伝えしよう。

■映画『パーフェクト・バディ 最後の約束』見どころ、名優ソル・ギョングの演技が光る

『パーフェクト・バディ 最後の約束』は、敵対するヤクザを叩きのめして保護観察処分となり、社会奉仕活動を命じられたチンピラ(チョ・ジヌン)と、彼に介護される車イス生活の大物弁護士(ソル・ギョング)、この水と油のコンビが心を通わせていく物語。とくに印象的だったのは、ソル・ギョングの過去の作品へのオマージュのように見えた場面だ。

 ライトアップされた釜山港大橋でチョ・ジヌンに車イスを押されるシーンでは、今はなきソウルの清渓高架路でソル・ギョングがムン・ソリの車イスを押した映画『オアシス』(イ・チャンドン監督)を思い出さずにはいられなかった。

 また、社稷野球場の地元ロッテ応援席で、対戦相手のネクセンに声援を送ってひんしゅくを買うシーンは、映画『TSUNAMI-ツナミ-』の同球場で酔っぱらって実在のイ・デホ選手(2015年までソフトバンクホークスに在籍)に悪態をついてハ・ジウォンに怒られるシーンを思い出して笑ってしまった。

ソル・ギョングが乗った車イスをチョ・ジヌンが押した釜山港大橋。動画配信サービスで配信中の映画『パーフェクト・バディ 最後の約束』は釜山が舞台で、主要な俳優が釜山訛りを話すが、実際に釜山出身なのはチョ・ジヌンだけ
釜山ロッテジャイアンツのホームグラウンド、社稷野球場