朝鮮王朝時代の名君イ・サン正祖)の若き姿を、1人の女性を愛した男としての側面から描いた大ヒットロマンス史劇『赤い袖先』。主人公イ・サンを演じたジュノ2PM)が俳優として名実ともにトップスターの座を確立した本作が、TV地上波やBS局でも放送中で、新たなファンを獲得し続けている。

 多くの視聴者を夢中にさせている王と宮女、2人のロマンスを、各話ごとに解説する。(本記事はオリジナル版全17話をもとに紹介。TV放送は日本編集版の全27話。※以下、一部ネタバレあり)

■『赤い袖先』第13話「謀反と救命」

●あらすじ

 王となったイ・サンは、世孫時代からそばで仕えてきた宮女ソン・ドギムに「側室になってほしい」と想いを告げるが、ドギムの返答がないまま日が過ぎていく。

 そんな中、サンの暗殺を狙う逆徒の襲撃が。すぐさま気づき事なきを得るも、宮中では逆徒の捜索が始まり、宮女たちからも逮捕者が出る。その中にはドギムの先輩ウォレもいた。落ち込むドギムにサンは、お前が勝ったら望みを叶えてやろうと賭けを提案。ドギムの望みを聞いたサンは……。

●見どころ

 サンの求愛を避けるドギムと、彼女の気持ちがわからず思い悩むサン。近づきたくても近づけない2人のもどかしいやり取りに切なさが募る回だ。

 堂々とした王の姿はどこへやら。思い切って一世一代の求婚したものの、ドギムの気持ちがわからず、内禁衛将(ネグミジャン)のカン・テホに女人の心にについて訊ねてしまうサン。真顔で女人に好感を持たれる術を問うなど、学問には長けていても、女心はさっぱりのサンがなんとも愛おしい。

「女人の前では強い振りではなく、弱い振りをしろ」というテホの指南に熱心に耳を傾けつつ、本当にそうなのか?といぶかしげな表情を見せるあたりも、恋愛に不慣れなごく普通の男の顔になっていて、実にいいのだ。

 ちなみに、テホはドラマオリジナルのキャラクターで、原作小説には彼にあたる人物は出てこない。サンを温かく見守り、場を和らげる存在として、ドギムの師匠、ソ尚宮同様、物語の妙味となっている(ソ尚宮は原作にも登場する)。

 サンが、互いの願い事を賭けた勝負をドギムに提案するエピソードも印象的だ。サンの願いが、求婚の答えが欲しいというものなのに対し、ドギムの願いは、大切な友を宮中に呼び戻すこと。

 サンの気持ちを二の次にして、友の心配をするドギムに、「自分のものを奪われた気分だ」と複雑な気持ちを示すサンのやるせなさたるや。「お前は私より友の方が大切か」と沈んだ声で告げながら、わざと負けて彼女の願いを叶えてやるサンの優しさが胸に染みる。ドギムには弱いのだ。