無人島のディーバ』10話で、ユン・ランジュ(キム・ヒョジン)がモクハ(パク・ウンビン)を呼び出し、思い出話をしたのは、「水仙花」という「LPミュージックバー」のテーブル席だった。

 LPミュージックバーとは、LPレコードをたくさん揃えて、客のリクエストに応じて曲を流してくれるカフェバーのことだ。

■『無人島のディーバ』に登場した韓国で人気のLPミュージックバーとは?

 音楽ソフトがLPに特化した店が増えたのは、懐古趣味や日本のシティポップがブームになったこの7、8年のこと。店の雰囲気は映画『サニー 永遠の仲間たち』(2011年)の後半、成長した主人公(ユ・ホジョン)が初恋の相手(イ・ギョンヨン)が営む店を訪ねるシーンで観ることができる。

 LPバーが流行る以前はCDを揃えている店が多かった。私は今から15年ほど前、弘大エリアの駐車場通り沿いにあったCDバーによく通っていた。店名も忘れてしまったが、今もあるかどうか……。

筆者の地元、ソウル江東区にあるLPミュージックバー。カウンター席があるので、一人、酒と音楽を楽しむ客も珍しくない
メモに曲名を書いて店の人に渡せば、音源の有無を確認して曲をかけてくれる

 LPであれCDであれライブであれ、歌と踊りと鳴り物好きが多い我が国には音楽のある飲食店は以前からあった。

 私の世代だと1970年代に大ブームとなった「音楽鑑賞室」という業態がよく知られている。当時は日本同様フォークがブームで、ライブの歌声と若い女性の嬌声渦巻く熱い空間だった。

 チョンウハン・ヒョジュ主演映画『セシボン』(2015年)はその当時の店の雰囲気をよく伝えている。セシボンはソウル市庁舎の北側、武橋洞(ムギョドン)に実在した音楽鑑賞室だ。

 また、音楽鑑賞室のバリエーションとして粉食店(トッポッキなどの粉ものを出す軽食店)にDJブースを設置してレコードをかける店も若者に人気があった。

 1970年代後半の江南の高校生を描いた映画『マルチュク青春通り』(2004)年の前半、主演のクォン・サンウとヒロイン役のハン・ガインらがそんな店でトッポッキを食べるシーンがあった。