チ・チャンウクシン・ヘソンが主演を務める新作ドラマ『サムダルリへようこそ』(韓国ではJTBC放送、日本ではNetflix配信)。物語は、1994年に済州で開かれた『全国のど自慢』の収録場面で始まる。

 この長寿番組はKBSで1980年から毎週日曜お昼に放送されている。全国各地を巡る公開収録方式で、視聴者が歌い手として参加し、ゲストとしてプロの歌手が登場するなど、日本の『NHKのど自慢』(1953年~)がお手本となっている。

■『全国のど自慢』名司会者の姿に涙!幼い主人公が歌ったのは名曲「おかっぱ頭」

『サムダルリへようこそ』冒頭の『全国のど自慢』の場面は、主人公のサムダル(シン・ヘソン)とヨンピル(チ・チャンウク)の子供時代。そこで幼い二人がいっしょに歌い踊るのが、チョ・ヨンピルの往年の名曲「おかっぱ頭」だ。

 この曲、韓国映画好きなら聞きおぼえがあるだろう。そう、映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年)の冒頭、ソン・ガンホ操る緑のポニータクシーの車中で流れていた曲だ。

 ドラマや映画を観る者を昔にタイムスリップさせる効果があるのが音楽だが、『サムダルリへようこそ』の冒頭のシーンにはさらに衝撃的な映像があった。

『全国のど自慢』で1988年から通算34年間司会を務めたタレント、ソン・ヘの姿だ。

 最初はソン・ヘと似ている人をキャスティングしたのかと思ったら、なんと、ディープフェィクと呼ばれる人物画像合成技術で1990年代の姿を再現させたという。

 幼いサムダル&ヨンピルと言葉を交わすシーンもあり、懐かしさに涙がこぼれそうになった。

 ソン・へは半島北側の黄海道出身で、朝鮮戦争のとき南側に避難してきた人だ。同じく黄海道出身の私の母と同じ境遇である。

 南北関係に雪解けムードがあった2003年には北側の平壌でも『全国のど自慢』が実現し、司会を行ったが、悲願だった故郷・黄海道での番組収録は果たせず、2022年の6月、亡くなった。