●『ミセン−未生−』
こんなにも主人公2人をハラハラしながら応援したドラマは他になかった。1人は学歴がないのに大手商社に入ったチャン・グレ(イム・シワン)。彼の成長は本当に頼もしかった。もう1人は上司のオ・サンシク(イ・ソンミン)。人情派の名物上司の生き方に惚れ抜いた。ドラマを見ながらサラリーマン社会の喜怒哀楽を堪能できたことも良かった。
たった一つだけのシーンを言って、このドラマが大好きな理由に替えたい。ラ・ミランが演じる主婦がのど自慢大会の予選に出たとき、使用するカセットテープを間違えて、通りを行く物売りの口上を録音した音が流れてしまった。バツが悪いラ・ミランはそれでも必死の形相で音に合わせて踊っていた。今もこの文章を書きながら思い出してゲラゲラ笑っている。
●『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』
評判だったけれど、あまりに最初から重すぎる雰囲気だったので、第3話でやめてしまった。しかし、「第4話くらいからメチャメチャ面白くなりますよ」とアドバイスしてくれる人がいて、再び見始めたら完全にハマった。まさに名場面の宝庫。繰り返し見たくなるシーンが多くて、それを見る度にまたまた幸せになれるのがとても嬉しい。
●『二十五、二十一』
ナム・ジュヒョクは『スタートアップ:夢の扉』で好感を持っていたので最初から注目していた。驚いたのがキム・テリの演技力。30歳を過ぎている彼女が女子高校生を演じて何の違和感がなかった。青春の光と影を主人公2人の成長と共に紡いでいく構成力が抜群で、終盤の展開は神がかり的だった。物語のラストも秀逸。何度見ても泣ける。
●『赤い袖先』
数多くの時代劇を見てきたが、飛びぬけてレベルが高い最高傑作。抑圧的な日々を強いられる宮女ソン・ドギムが自立した1人の女性として奔放に生きる姿がまばゆかった。「女性監督が時代劇を演出するとこんなに繊細で抒情的な作品ができるのか」と心から感心した。終盤のジュノ(2PM)扮するイ・サンの孤立感を淡々と描写した手法もドラマの完成度を高めていた。