BSテレ東で『冬のソナタ』が放送されている。改めて見ていて、単純に「懐かしい」と感慨にふける前に、「これほどの傑作が20年以上も前に本当に誕生していたんだなあ」と作品の完成度の高さに感心してしまう。

 このドラマのおかげで日本でも熱烈な韓流ブームが起き、そのムーブメントは現在まで絶大な影響を及ぼしている。まさに「『冬のソナタ』は奇跡的なドラマ」と実感する所以(ゆえん)である。

 それと同時に「ちょうど20年前だった」と思い出すことがある。それは、ユン・ソクホ監督にインタビューしたときであり、2004年1月18日頃だったと記憶している。『冬のソナタ』はどのように制作されたのか、ということに強い関心を持ったので、ソウルホテルで直接ユン・ソクホ監督に質問してみたのだ。

 とても興味深い発言が多かったので、『冬のソナタ』の制作過程を明らかにするためにも、当時のインタビューを振り返ってみよう。

■名作『冬のソナタ』ユン・ソクホ監督が20年前のインタビューで語ったこと

 ユン・ソクホ監督は言葉を選びながらゆっくりと丁寧に話してくれた。

「冒頭のタイトルシーンを撮るのに苦労しました。2002年1月から放送が始まるというのに、12月に入っても韓国ではまだ雪が降ってこなかったんです。このままでは初雪のシーンを撮れないので、スタッフの間で北海道まで行こうと検討していました。北海道なら早めに雪が降るから撮れるかなと思い、その気も十分でした。でも、脚本のできあがりが大幅に遅れ、北海道へ行く準備もできなくなりました。

 頭を痛めていたら、幸運にも年末に思いもよらない大雪が降ったのです。おかげで、思い通りに初雪のシーンを撮ることができました。そういう意味では、本当に運がよかったと思います」

 次にペ・ヨンジュンチェ・ジウのキャスティングについてこう語った。

「ペ・ヨンジュン氏の場合はルックスも素敵ですが、全体的なイメージがとてもいいと思います。純粋でありロマンチックでありセクシーである、という多様性がありますね。彼が、1994年にデビューしたときも『愛の挨拶』というドラマの監督をしています。あのときは優しくて柔らかいイメージの男だという印象が強かったのですが、久しぶりに一緒に仕事をしてみて、実に男らしく成長しているのに驚きました。実に男っぽいのです。

 チェ・ジウさんはなんといっても身体的な条件がとてもいい女優ですね。背も高いし絵になるんですよ。もちろん、演技も高く評価できます。特に、泣くとき……。哀しみを表しながら心から涙を流すのです。まるでスポンジに水がしみ込んでいくような、そんな風に感情がジワジワと広がっていく演技ができます」

 さらに、ユン・ソクホ監督が強調していたのは、「個人的にリアリティよりファンタジーを優先したい」ということであった。

「私は夢やファンタジーがあるドラマを作ろうとしているので、配役を決めるときも現実性より夢を見ているときのような雰囲気を大切にしています。あの2人はそんなイメージをもっていると思います。他の俳優にはない神秘性を備えていますよ。

 また、重要だったのは、2人が一緒に立ったときに色合いがピッタリ合うかどうかということでした。何よりも相性が大事ですからね。その点、2人は本当によくマッチするんですよ。現実でもすばらしいカップルのように……。2人を主人公に決めて本当に満足しました」

インタビューにも出てくる龍平スキー場では、2004年当時、『冬のソナタ』に関する展示物が多かった