しかし、パク・ヒョニョンは、『カンウォンドのチカラ』出演後、ソン・ガンホ主演『殺人の追憶』(2003年)、ソル・ギョング主演『あいつの声』(2007年)、ファン・ジョンミン主演『星から来た男』(2008年)、ハ・ジウォン主演『私の愛、私のそばに』(2009年)、パク・ミニョン主演『The Cat ザ・キャット』(2011年)など、メジャー作品にチョイ役ながら出演していたのだ。また、2011年、彼女が主演した映画『レインボー』は東京国際映画でアジア映画賞を受賞している。

 上記の映画でもっとも多くの日本の人が観ていそうなのが、ソン・ガンホの人気を決定づけた『殺人の追憶』だが、同作を繰り返し観ている私でも、パク・ヒョニョンがどこに出ていたか思い至らなかった。

 キム・サンギョン扮する刑事が被害者の通っていた中学の個室トイレを調べていたら、中から白衣の先生が出てきたシーンを覚えている人はいないだろうか。あれが彼女である。後頭部を刈り上げたショートカットだったので気づかなかったのだ。

■『夏時間』には、韓国式角打ち「シュポ」の名場面も

『夏時間』を観て、20年以上ごぶさたしていた旧友に会ったようにうれしくなった。これも映画の楽しみ方のひとつである。

 この映画には、パク・ヒョニョンが夜、兄と二人でシュポ(食料雑貨店/韓国式角打ち)の縁台で缶ビールを飲むシーンがある。二人の演技とカメラワークが秀逸で、映画『ワンドゥギ』(2011年)に匹敵するシュポ名場面だ。

 劇中に登場したような店先に縁台のあるシュポは、田舎に行かないとなかなか見られなくなった。

 同作は、動画配信サービスで日本でも視聴できるそうだ。『私たちのブルース』のイ・ジョンウンや『良くも、悪くも、だって母親』のラ・ミランのような遅咲きの名女優に負けない味のある演技で、今後脚光を浴びる可能性もありそうな彼女の演技をぜひ確認してもらいたい。

ソウル乙支路4街のシュポの店先でビールを飲む人々