「韓国の人って屋上が好きですね」と、屋上住宅(オクタッパン)について書いたコラムを読んでくれた日本の知人数人から言われてハッとした。どうやら我々韓国人と屋上はかなり密接らしい。
そこで、映画やドラマに出てくる屋上シーンを振り返りながら、韓国人はなぜ屋上が好きなのか考えてみよう。(記事全2回のうち後編)
■パク・ヒョンシク主演『ドクタースランプ』&『ハピネス』は屋上シーンの宝庫
ジョンウ(パク・ヒョンシク)とハヌル(パク・シネ)のラブストーリーが屋上で展開される『ドクタースランプ』だけではない。
『HAPPINESS/ハピネス』第1話も高校生のイヒョン(パク・ヒョンシク)とセボム(ハン・ヒョジュ)が学校の屋上の淵に二人で腰かけるシーンから物語が始まる。
感染が拡大し、ゾンビがはびこる高層アパートの屋上ではじつに多くの場面が撮影されている。あるときは銃撃戦が繰り広げられ、またあるときは感染者の隔離場所になり、そしてまたあるときはサバイバル中の登場人物が楽しげに弁当を食べる。
■韓国の住宅事情、日本と比べると部屋の窓が少ない
韓国人が屋上が好きかどうかはともかく、そもそも屋上は眺望がよいのでアクセントとして使われるのは自然なことだ。ノワール作品などで登場人物のアップの多い場面が続くと息苦しいが、屋上シーンに転じると清々する。たとえば映画『監視者たち』(ハン・ヒョジュ、チョン・ウソン主演)がその好例で、映像にメリハリがあった。
そのことよりも筆者が着目したのは、韓国の住宅事情だ。留学で日本に住んだときに気づいたのだが、韓国の部屋は日本と比べると窓が小さいし窓自体が少ない。古い住宅ほどそうだ。
東京と比べるとソウルは1年を通して最低気温が低く、11月から2月は零下があたりまえ。防寒のため二重窓が一般的なので閉塞感がある。
春を恋しく思う気持ちは日本の豪雪地帯並みかそれ以上。ゆえに陽の光を渇望する。屋上好きにはそんな背景もありそうだ。韓国人が気温が10度を下回る11月過ぎまで食堂の外で嬉々として飲み食いするのもそれと無縁ではないだろう。