Netflixで配信が始まった最新ドラマ『涙の女王』は、デパートを経営する財閥の娘ヘイン(キム・ジウォン/『私の解放日誌』)と、地方のスーパーマーケットの息子ヒョヌ(キム・スヒョン/『サイコだけど大丈夫』)のラブストーリーだ。

 本作の第1話には、ヘインとヒョヌの格差婚を象徴するものとして、ソウルのデパートと地方のスーパーマーケットが登場している。

 今回はドラマや映画で登場人物の生活感や格差社会を象徴するアイテムとしてよく使われる、韓国のスーパーマーケットなどの商業施設について見てみよう。

 韓国の商業施設は規模の大きい順に、百貨店(デパート)、マート、スーパーのように分類できるが、個人経営の小さな食料雑貨店をスーパー(韓国的発音ではシュポ)とかマートと呼ぶ人も多い。

ソウル鐘路3街の益善洞にある韓屋の小型スーパー

■『ハピネス』『殺人者のパラドックス』他、サバイバル場面に登場するスーパーマーケット

 パク・ヒョンシク(『ドクタースランプ』)主演の『HAPPINESS/ハピネス』(Netflix配信中)で、ゾンビ禍の高層マンションの住人たちがスーパーマーケットで食糧を確保しようとする場面がある。

 パンデミックでスーパーに店員などいない。それなのに、「支払いはどうしよう?」と真顔で言うイヒョン(パク・ヒョンシク)。セボム(ハン・ヒョジュ)は、「こんなときに何言ってるの?」とあきれる。

 少年の心のまま刑事になったイヒョン。人情家だが世渡りも上手いセボム。スーパーを舞台に2人のキャラクターが鮮明になった場面だ。

 スーパーでの買い物シーンはゾンビものには欠かせない。ゾンビを避けてどこかに潜伏するなら、食糧確保は生死に関わる問題だからだ。緊張が続くなか、スーパーのシーンは観る者をしばしホッとさせる効果があり、ウィットに富んだ演出も多い。

『ハピネス』のイヒョンはゾンビ禍にあっても律儀さを見せたが、英国のゾンビ映画『28日後』では、食糧をカートいっぱいに詰め込んで上機嫌の男が、誰もいないレジを通るとき、もうこんなもの要らないとばかりにクレジットカードを置いていく洒落た場面があった。

 また、Netflixのリアリティ・サバイバル番組『ゾンビバース』には、イ・シヨンをはじめとする主人公たちがスーパーマーケットに避難し、ゾンビと戦うシーンがあった。

 店内イベント用のポン菓子の機械を作動させ、その爆発音でゾンビの気をそらす演出は韓国らしくて愉快だった。

 ゾンビではないが、Netflix『殺人者のパラドックス』では、自分をおびやかす何者かから逃れるため、主人公タン(チェ・ウシク/『その年、私たちは』『パラサイト 半地下の家族』)がスーパーマーケットで働くシーンがあった。

 地方(釜山市機張郡)のスーパーで陳列棚越しに謎の男と対峙するシーンは、平凡な日常生活に緊張感がミックスされた演出で面白かった。

ソウル江南の大型スーパーマーケット

日本の旅行者にもおなじみのEマート(左)