■年代別に観るべき作品をセレクト!進化する韓国ドラマに胸震える

杉本 各年代ごとに名作ドラマをフィーチャーした「年代別観るべきドラマ」特集も、すごく興味深い仕上がりになったと思います。韓国ドラマって、その時代時代で流行るジャンルがありますよね。ラブコメひとつとっても時代ごとにはっきりとしたトレンドの傾向がある。それが一目でわかるのが面白いです。

高橋 第一次韓流ブーム時は『天国の階段』(2003年)のようにシンデレラストーリーが全盛で、「御曹司と持たざるヒロインのロマンス」に特化していましたよね。それが2006年の『私の名前はキム・サムスン』でヒロイン像に大きな変化が生まれる。御曹司に守護されるか弱いヒロインから、自立した強さと可愛さをあわせもつヒロインの走りがここにあったと思います。

そうするうちに『シークレット・ガーデン』(2010年)を筆頭したファンタジー の時代が到来。この作品は男女の魂が入れ替わることで、それぞれのことを理解する物語でしたよね。『君の声が聞こえる』(2013年)や『ピノキオ』(2014年)も特殊能力というファンタジー な要素をいれることで、物語がもつメッセージをドラマチックに伝えるものでした。

 このあたりからロマンス×サスペンス といったジャンルミックスが台頭。一方で、『ミセン―未生―』(2014年)のようにロマンスを一切排除したドラマが誕生したり……。そんなふうに、年代年代の傾向を振り返ることができました。コラム書いていても楽しかったです。

杉本 私は、改めて2016年という前代未聞のドラマ豊作年に驚かされました。『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』や『麗<レイ>〜花萌ゆる8人の皇子たち〜』、『シグナル』『花郎<ファラン>』『雲が描いた月明り』など、今も色あせない人気作品が同じ年に誕生してるなんて!

高橋 この年以降、韓国ドラマのジャンルやクオリティが一気に加速した印象です。『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』(2018年)や『まぶしくて―私たちが輝く時間―』(2019年)、『ストーブリーグ』(2019年)など、ロマンスに限らない心震わせるドラマが誕生しました。

 韓国では“ジャンルもの”とまとめられるけれど、捜査劇や法廷もの、お仕事ドラマなど、脱ロマンス作品がその地位を作りあげたのもこの頃からです。

『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』(C) STUDIO DRAGON CORPORATION