韓国のゴールデングローブ賞とも呼ばれ、TV・映画・演劇の3部門で優れた功績を残した作品・スタッフ・俳優に与えられる、韓国エンターテインメント最大のアワード第60回「百想(ペクサン)芸術大賞」が、5月7日、ソウル江南のCOEXホールで開催された。

 映画部門では、韓国現代史を揺るがした軍事クーデターを一部フィクション交えて映像化し大ヒット、観客動員を1312万人を突破した『ソウルの春』と、オカルト映画で初めて観客動員1000万人を突破し、今なお数を伸ばしている『破墓(パミョ)』と二大話題作の激突が注目された今年の百想芸術大賞

『ソウルの春』で全斗煥(チョン・ドファン)元大統領をモデルにした軍人チョン・ドゥグンを怪演したファン・ジョンミンが、男性最優秀演技賞で百想芸術大賞を初獲得。メガホンを握ったキム・ソンス監督が大賞、さらに作品賞の3冠を達成した。

 一方、『破墓』は、監督賞(チャン・ジェヒョン)をはじめ、女性最優秀演技賞にキム・ゴウン、新人賞をイ・ドヒョン、さらに技術部門に与えられる芸術賞(音響監督キム・ビョンイン)の4冠となった。

 青龍賞、大鐘賞などでは何度も受賞歴がある韓国を代表する名優でありながら、百想芸術大賞とは縁がなく、MCのシン・ドンヨプに「韓国のレオナルド・ディカプリオ(無冠の帝王)」とも称されたファン・ジョンミンが悲願の受賞となり、涙ながらに感謝のコメントする姿が感動を呼んだ。

 また、『破墓』でスクリーンデビューし、見事新人賞を獲得したイ・ドヒョンは、現在兵役中のため、所属部隊である韓国空軍音楽隊の制服で登場し、観客を大いに沸かせた。

 そのほか、脚本賞をチョン・ユミイ・ソンギュン共演の『スリープ』(6月28日公開)が獲得したことを筆頭に、『密輸 1970』(7月14日公開)のキム・ジョンスが助演賞、ソン・ジュンギの出演も話題の『このろくでもない世界で』(7月26日公開)のキム・ヒョンソが新人賞と、今後日本で公開される作品の受賞が続いた。

 また、新人監督賞には、釜山国際映画祭のアジアコンペティション部門「ニューカレンツ」で最高賞を受賞した『怪人』のイ・ジョンホン。百想芸術大賞の審査対象作の中で、多様性、公正性、包容性などのメッセージを内包した作品に与えるGUCCIインパクトアワードには「D.P.―脱走兵追跡官―」『調査官ク・ヘギョン』などで俳優としても活躍するチョ・ヒョンチョルが監督を務めた『あなたと私』が選ばれた。

 映画部門のプレゼンターには、『フクロウ―』リュ・ジュンヨル、『別れる決心』のタン・ウェイ、『ハンサン―龍の出現―』ピョン・ヨハンパク・セワンキム・シウンなど第59回の受賞者が集結。また昨年は海外にいて、授賞式の壇上にあがれなかったパク・チャヌク監督が登壇し、お祝いムードを盛り上げた。

■第60回「百想芸術大賞」受賞ラインナップ(映画部門)

 第60回「百想芸術大賞」映画部門の受賞結果は以下の通り。()内は(日本公開情報)

●大賞

キム・ソンス監督『ソウルの春』(8月23日公開)

●最優秀演技賞

男性:ファン・ジョンミン『ソウルの春』

女性:キム・ゴウン 『破墓(パミョ)』(日本公開未定)

●作品賞

『ソウルの春』