最近、日本のNetflixでも配信が始まった映画『奈落のマイホーム』は、なかなかおもしろく、そして、韓国人にとっては大変身につまされる物語だ。

 本作は、念願のマイホーム(ヴィラ=低層マンション)を手に入れた主人公家族と彼の家に引っ越し祝いに来た職場の部下たち、そして、同じヴィラに住む隣人たちにある災難が降りかかるという、ユーモアあふれるサバイバル映画である。

■映画『奈落のマイホーム』見どころは?まじめなキム・ソンギュン、ちょいワルなチャ・スンウォンのみごとなコントラスト

 本作の主人公役は『離婚弁護士シン・ソンハン』ムービング』『D.P.─脱走兵追跡官─』、年内放送予定の『熱血司祭2』(キム・ナムギル主演)などに出演しているキム・ソンギュン。職場の部下役に『パイレーツ:失われた王家の秘宝』のイ・グァンスや『キングダム』のキム・ヘジュン

 さらに、隣人役には『私たちのブルース』『毒戦 BELIEVER2』『楽園の夜』『三食ごはん』のチャ・スンウォンが扮している。

 キム・ソンギュンは安定の演技派ぶりを見せている。いっぽうで、久しぶりに魅力が爆発していたのが、写真館主人やジムのインストラクター、運転代行などを掛け持ちする生活苦のシングルファザーに扮したチャ・スンウォンだ。

 モデル出身で高身長かつ美男のチャ・スンウォンだが、初の単独主演映画『僕らの落第先生』の不良教師役や『約束』の脱北者役、『私たちのブルース』の金策に走る銀行マン役などを観ればわかるように、ちょいワルな人物、訳ありの人物がハマる役者だ。最新主演作『暴君』(ディズニープラス スターにて8月14日から独占配信開始)では冷徹な傭兵役を演じる。

 本作では前半、小市民中の小市民である主人公(キム・ソンギュン)をわずらわせる役として本領を発揮していた。

■主人公が新居を構えたのはソウルの東のはずれ、漢江ビュー

 物語の舞台は主人公が苦労して手に入れた5階建てのヴィラだ。映画の冒頭、漢江の南側からウォーカーヒルホテルを望むロケーションから推察すると、位置は筆者が住む千戸洞(チョノドン)のあるソウル江東区(カンドング)の岩寺洞(アムサドン)辺り。

 脇には道路の防音壁があるので、オリンピック大路脇の漢江ビューと見て間違いない。

ソウル江東区の広津橋から東方向(岩寺洞)方向を望む。左手の漢江の川向こうにはウォーカーヒルホテルが

 キム・ジウォンソン・ソック出演ドラマ『私の解放日誌』を観ればわかるように、周辺の京畿道ではなく、ソウル特別市に居を構えることは私たち韓国人の夢である。

 パク・ヒョンシクパク・シネ主演ドラマ『ドクタースランプ』のハヌルの家の脇にあった城壁(朝鮮王朝時代、ソウルの内と外を隔てた漢陽土城)の内側となると、その夢はさらに遠いものになる。