Netflix今夏おすすめ作『Missナイト&Missデイ』は、20代と50代を夜と昼で行ったり来たりすることになった女性が主人公のファンタジーラブコメ&サスペンスだ。今回は、主人公が危機を脱したあとの15話、16話のなかで印象に残った場面にフォーカスする。(以下、一部ネタバレを含みます)

■Netflix『Missナイト & Missデイ』のクライム・サスペンス面を盛り上げた立役者

 ネタバレになるので誰とは書かないが、真犯人に扮した俳優は韓国ドラマ史に残る名ヒール(悪役)だったと思う。

『Missナイト & Missデイ』は登場人物とその背景の描写が丁寧で、コメディや人情劇としてよくできていたので、クライム・サスペンスの部分は不要では? と思ってしまったくらいなのだが、この真犯人の迫真の演技、とくに容疑者にもなっていないときの演技とのギャップはすばらしかった。

 本性を現した真犯人のおかげで、このドラマがクライム・サスペンスとして引き締まったといえるだろう。

 この俳優はマ・ドンソク主演映画『犯罪都市 PUNISHMENT』やキム・ヘスクシン・ミナ主演映画『母とわたしの3日間』にも出ているので、チェックしてほしい。

ヒロインを拉致した真犯人が、せわしなくかき込んでいたユッケジャン

 また、本作のミジンの両親は、ここ数年の韓国ドラマの「BESTプブ(夫婦)」有力候補だ。

 気丈だが、情に篤く料理上手で良妻賢母なミジンオンマ(チョン・ヨンジュ)と、彼女に圧迫されがちな夫(チョン・ソギョン)のバランスは、男尊女卑で亭主関白のイメージが強いが、じつは母親が実権を握っていることが多い韓国社会では、好感をもって受け入れられたはずだ。

 そして、複雑な境遇のミジンやイム・スンを常に慰め、励まし続けたガヨン(キム・アヨン)は、ここ数年のドラマの「BESTチング(親友)」と言ってよいだろう。彼女の言動には何度も笑わされ、ミジンを元気づけるシーンには何度も泣かされた。

「BESTチング」といえば、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の主人公ウ・ヨンウ(パク・ウンビン)の親友トン・グラミチュ・ヒョニョン)も有力候補だが、筆者は底抜けに明るく、韓国のドラマや映画ではきわめて珍しい女性のパング(おなら)場面にも果敢に挑んだガヨン派だ。