韓国で1200万人近くを動員し、日本でも10月18日(金)より公開される映画『破墓/パミョ』。チェ・ミンシク、キム・ゴウン、ユ・ヘジン、イ・ドヒョン共演のサスペンス・スリラーで、百想芸術大賞で4冠受賞した注目作だ。
本作のプロモーションで18年ぶりに来日した主演のチェ・ミンシク(1962年生まれ)は、キャリア的にはソン・ガンホやファン・ジョンミンの先輩格で、韓国を代表する俳優の一人だ。その証拠に、今春、大手世論調査会社「韓国ギャラップ」が行った「好きな韓国映画俳優は?」という調査では、堂々第1位に選ばれている。
今回は『破墓/パミョ』公開を記念して、純情青年から怪人キャラクター、フィクサーまで、幅広い役柄で大衆を魅了してきたチェ・ミンシクの魅力を時期別に紹介しよう。
■チェ・ミンシク「純情青年期」(1989~2001年)
1982年に舞台で俳優デビューしたチェ・ミンシクのスクリーンデビューは1989年。1992年の『我らの歪んだ英雄』では、一人の生徒が恐怖支配する田舎の中学校に転任してきた熱血教師を演じ、注目される。
1994年の下町人情ドラマ『ソウルの月』ではハン・ソッキュ扮する不良青年と好対照の純情青年を演じ、スター俳優に。その後、『ナンバー・スリー』(1997年)でハン・ソッキュやソン・ガンホ扮するチンピラを圧迫するガラの悪い検事を演じたものの、2001年頃まではおおむね悪の匂いからは縁遠い善人を演じ続けた。
1998年の『クワイエット・ファミリー』では登山客相手のペンションに居候する男を演じ、純情を通り越して愚鈍な男やもめぶりは劇場を笑いの渦に巻き込んだ。その後のチェ・ミンシクの怪人やフィクサー的な役柄しか知らない人には新鮮に映るだろう。
1999年の『ハッピー・エンド』では、IMFで失職し、英語塾を経営する妻(チョン・ドヨン)に浮気されてしまう頼りない夫を、2001年の『ラブレター ~パイランより~』では、純情青年の心を捨てきれない下っ端ヤクザを演じている。
■チェ・ミンシク「怪人期」(2002~2010年)
2002年、チェ・ミンシクは『酔画仙』で酒と女に耽溺する豪放磊落な画家を演じ、新境地を開拓した。
翌2003年公開、日本のコミックを映画化した『オールド・ボーイ』(パク・チャヌク監督)では、理由もわからず十数年間監禁され、復讐鬼となる男を演じ、怪人キャラを決定づけた。同作はカンヌ国際映画祭で審査員大賞を受賞している。
その後は、殴られ屋を演じた『クライング・フィスト 泣拳』(2005年)、表は英語講師、裏はサイコパスを演じた『親切なクムジャさん』(2005年)、連続殺人犯を演じた『悪魔を見た』などで、恐怖の大王キャラを確立している。なかでも、主人公(イ・ビョンホン)の婚約者を地獄に突き落とした『悪魔を見た』はトラウマ級の怪作だ。