再会の場面は、ドラマ随一の珠玉の名シーンになっていた。おもいがけず潤吾を見つけたときのホンの表情は、「凍り付いた」という表現がピッタリだった。その一瞬の表情の中に、結婚を間近に控えたホンの大いなる戸惑いが込められていた。

 それからのホンは一切の微笑みを忘れてしまった。ひたすら、思い悩む姿が描写される。ドラマの序盤で見せた快活な姿とは正反対であったが、5年の歳月とはそれほど重かったのだろう。

 同時に、2人の和解につながるプロセスも潜んでいた。そこが、最後までドラマを見ていくうえで救いになっていた。

 全体として、『愛のあとにくるもの』は日本での「愛の喜び」と、5年後の韓国での「別れの辛さ」を並行して描いている。特筆すべきは映像の美しさだ。スロモーションを生かしながら2人がすれ違うシーンには哀感が漂っていたし、2人を取り巻く風景も心象に余韻を残していた。

 普段の喧騒を離れて1人で静かに見るのに最適なドラマだった。

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●配信情報

『愛のあとにくるもの』Prime Videoにて見放題独占配信中

[2024年/全6話]監督:ムン・ヒョンソン

出演:イ・セヨン、坂口健太郎、ホン・ジョンヒョン、中村アン

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