テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『善徳(ソンドク)女王』。いよいよ終盤に入って佳境を迎えているが、苦難の中で生きてきた王女トンマン(イ・ヨウォン)が、ついに女王に即位して新羅(シルラ)を強国にするプロセスが描かれていく。(以下、一部ネタバレを含みます)

■傑作『善徳女王』終盤見どころ、キム・ナムギル扮するピダムの存在感に改めて魅了される!

 人気を誇る韓国時代劇の傑作『善徳女王』は、トンマン、キム・ユシン(オム・テウン)、ピダム(キム・ナムギル)という3人のメインキャストが活躍するドラマなのだが、それに加えて圧倒的な存在感を持っていたのがミシル(コ・ヒョンジョン)であった。

 ミシルは国王以上に権力を持った女帝。新羅という国をいかようにも動かせる魔力を備えていた。

 しかも、ミシルに扮したコ・ヒョンジョンが妖艶な姿で堂々と演じ切り、『善徳女王』を壮大なスケールの大河時代劇に導いていった。

 そんなミシルの隠し子がピダムだった。彼は生まれたときミシルに捨てられたのだが、のちに剣術に優れた武人として成長し、トンマンの懐刀になるほどの大物となっていた。この人物像を快活に演じたのがキム・ナムギルであり、本当にいい味を出していた。

 なによりも、野生味を前面に出したキャラクターがとても良かった。キム・ナムギルは本来、正統的な美男子なのだが、そのイメージに加えて奔放な性格がドラマの随所にうまく出ていた。

 しかも、ピダムは明るいだけの男ではない。やはり出生の秘密を抱えているだけに陰鬱な部分もあったのだ。

 そのように「日向」と「日陰」という両面を持ったピダムという男を、キム・ナムギルは豊かな表現力で自在に演じていた。この『善徳女王』が最初に放送された当時、キム・ナムギルが圧倒的な人気を集めるようになったのも必然だ。

 彼は、従来の男優にはない突破力を持っていた俳優である。そうしたキム・ナムギルの「魅せる力」のおかげで、ピダムの挫折と成長が『善徳女王』で存分に描かれていて、大いに好評を博した。

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