中でも、忘れられない名場面がある。彼はミシルの息子であることをずっと隠していたのだが、最後になって没落していくミシルに対して「母さん」と呼びかけていた。しかし、ミシルは毒薬を飲んで自ら命を断とうとしているのに、最期の場面でも息子に対して気弱な面を見せなかった。

 その際のピダムが抱えた「底しれない悲しみ」を、キム・ナムギルが哀愁を見せて巧みに演じていた。

 改めて考えても、『善徳女王』というドラマは、俳優キム・ナムギルの真骨頂を世に強く送り出したドラマであった。

 その後の『赤と黒』から『医心伝心~脈あり!恋あり?~』『熱血司祭』『悪の心を読む者たち』までにつながるキム・ナムギルの大活躍ぶりは、韓流の世界の輝かしい「異彩」となった。

●作品情報

『善徳女王』

[2009年/全62話]演出:キム・グンホン、パク・ホンギュン 脚本:キム・ヨンヒョン、パク・サンヨン

出演 ‏ : ‎ イ・ヨウォン、コ・ヒョンジョン、オム・テウン、パク・イェジン、キム・ナムギル

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