たとえば、ガンヒョクが、海外での作戦中に負傷した韓国軍兵士を救うために南スーダンに飛ぶエピソード。一刻も早く韓国に安全に輸送するため、エアアンビュランス(医療用航空機)を求めたガンヒョクが、国のお偉方に「決定まで2週間はかかる」「予算が足りない」とごねられ、ブチ切れるシーンがあるが、あれも、イ教授が関わった実際の事件でのひとこまがモチーフになっている。
その事件とは、2011年、ソマリア海賊に韓国船舶が襲われたとき、韓国の特殊部隊が救出作戦(「アデン湾の黎明」作戦)で起きたもの。銃撃戦で海賊に撃たれた船長の治療を担当したイ教授は、治療のために早期韓国への帰国が必要だと、エアアンビュランスを求めたが、費用が問題になり、イ教授は自らも費用の負担を申し入れ、なんとか飛ばしてもらったことがあったのだそう。
また、イ教授の積極的な行政への働きかけで、韓国内に24時間体勢のドクターヘリが導入されたことも、よく知られたエピソード。劇中、ガンヒョクが保健福祉長官(キム・ソニョン扮)と交渉し、マスコミを利用する姿なども、そんな逸話から生まれたものと考えていいだろう。
制作発表会でガンヒョクのモチーフについて問われたチュ・ジフンは、「この作品はファンタジー活劇なので、直接的なモデルとはいえないが、先生のドキュメンタリーなどはもともと見ており、患者への献身的な姿、その心意気の部分を参考にしている」と答えている。
ちなみに、原作者によれば、ドラマはシーズン2、3まで想定しているのだとか。再び、あの凄すぎるガンヒョクと弟子たちの活躍が見られることを期待したい。
●配信情報
Netflixシリーズ『トラウマコード』独占配信中
[2025年/全8話]演出:イ・ドユン『コンフェッション 友の告白』(映画) 脚本:チェ・テカン『アダマス 失われたダイヤ』
出演:チュ・ジフン『照明店の客人たち』『愛は一本橋で』、チュ・ヨンウ『オク氏夫人伝 ー偽りの身分 真実の人生ー』、ハヨン『イ・ドゥナ!』、ユン・ギョンホ『今、私たちの学校は…』、チョン・ジェグァン『コネクション』