『劇映画 孤独のグルメ』に入国審査官役で出演した実力派俳優ユ・ジェミョンが、釜山の郷土料理であるテジクッパ愛を語っているプロモーション映像を観た。テジクッパとは、豚骨スープの汁かけ飯のことである。

 大ヒットドラマ『梨泰院クラス』をはじめ、『賢い医師生活』シーズン2、映画『ユンヒへ』『声もなく』『キングメーカー 大統領を作った男』などで、日本でも認知度がアップしているユ・ジェミョンは、釜山生まれ。大学卒業後も地元での演劇活動にこだわってきた。

 今回はそんな釜山とゆかりのある俳優たちにフォーカスしてみよう。

■釜山らしさとは何か? ユ・ジェミョン、コン・ユイム・シワンナム・ジュヒョク…釜山出身俳優の共通点は?

 首都ソウルに次ぐ第二の都市だけに釜山出身の俳優は多いのだが、「釜山らしさ」を感じさせる人となると、そう多くはない。

 釜山らしさとは何か? ソウルと比べた場合のざっくりとした印象でしかないのだが、男子は、無骨、男気、シャイ。女子は情緒より現実、名分より実益を優先といったところだろうか。

 ユ・ジェミョンは本人が釜山人としての矜持が強いせいもあるのだろうが、古典的な釜山男子のイメージに近い。

 その意味では、『イカゲーム2』でメジャー復帰を果たしたベテラン俳優オ・ダルス(影島育ち)も釜山らしい俳優といえそうだ。『国際市場で逢いましょう』で披露していた釜山弁はホンモノである。

『イカゲーム2』に出たコン・ユ、イム・シワン、カン・ハヌルはいずれも釜山出身。そして、釜山生まれで慶尚南道昌原(チャンウォン)育ちのイ・ジュンギ。『ベイビーブローカー』のカン・ドンウォン。『二十五、二十一』のナム・ジュヒョク、『梨泰院クラス』のアン・ボヒョンも釜山出身。7人の共通点は、もちろん「美男」だ。

 しかし、彼らのインタビュー記事などを見ると、自らの美貌に耽溺しているようには見えない。なかでも、2005年に1200万人以上の観客を動員した映画『王の男』の役柄から中性的なイメージが強いイ・ジュンギには、男らしさを強調する発言が多い気がする。そのあたりも釜山人らしさだろうか。

 なお、コン・ユの釜山弁は、『82年生まれ、キム・ジヨン』での姉との通話シーンなどで聞くことができる。

 ちなみに、コン・ユ、ナム・ジュヒョク、OH MY GIRLのメンバーでドラマ『還魂』にも出演したアリンらは、釜山のプロ野球チーム、ロッテジャイアンツの熱狂的ファンとして知られている。

 金海出身で釜山の短大に通っていたソン・ガンホと、馬山(現・昌原)出身のファン・ジョンミンは釜山文化圏出身と言ってよいだろう。ともにふだんは無口で内向的と言っているあたり、釜山サナイ(釜山男子)らしい。

 ソン・ガンホは『弁護人』や『シークレット・サンシャイン』、ファン・ジョンミンは『国際市場で逢いましょう』でホンモノの釜山訛り(慶尚南道訛り)を聞かせてくれる。

釜山のプロ野球チーム、ロッテジャイアンツのホーム、社稷野球場