BLACKPINKジス扮するヒロイン、ヨンジュと個性派俳優パク・ジョンミン扮する軍人、ジェユンのラブストーリーのように見えた韓国ドラマニュートピア』(Prime Videoで独占配信中)は、まさかのゾンビものだった。

 第3話ではヨンジュがサバイバルのために、ある店に隠れるシーンがあった。ゾンビを避けるために商業施設に籠城するのは、ゾンビ映画やドラマの王道である。世にあふれるゾンビものの原点といえる映画『ゾンビ(原題:DAWN OF THE DEAD)』(1978年)でも、軍人とヘリコプター操縦士とその彼女が立て籠もった大きなショッピングモールが物語の主舞台だった。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『ニュートピア』でヒロインが立て籠もったのは、なんとLPバー

 ゾンビを避け、ヒロイン一行が飛び込んだのは、雑居ビル2階のLPバーだった。

 LPバーとは、この7、8年の間に韓国都市部に定着した業態で、レトロブームで注目された音盤(ウムバン)、つまりアナログレコードを数多く揃え、客が聴きたい曲をリクエストできる店のことだ。LPだけではなくCDも揃っているし、音源がなければYouTubeに頼ることもできるので、国籍問わずほとんどの客の要望に応えることができる。

 LPバーはホットスポットなので、ドラマや映画にもたびたび登場する。最近のドラマでは、『無人島のディーバ』10話で、ユン・ランジュ(キム・ヒョジン)がモクハ(パク・ウンビン)をLPバーに呼び出し、思い出話をするシーンがあった。

 また、クム・セロクノ・サンヒョン主演ドラマ『サウンドトラック』シーズン2の第4話には、ソウルの「アンニョン仁寺洞」5階に実在するLPバーが登場している。

 SUPER JUNIORのシウォンがMCを務め、各界著名人の音楽履歴を聴く「クァク's LP BAR」のように、タイトルにLPバーが冠されたインタビュー番組もあった。

 映画では、世界各国でリメイクされた『サニー 永遠の仲間たち』(シム・ウンギョン主演)に、成長した主人公(ユ・ホジョン)が初恋の相手(イ・ギョンヨン)が営むLPバーを訪ねるシーンがあった。

ソウル東部の下町、千戸洞(チョノドン)のLPバー
地方都市でもLPバーは珍しくなくなった。写真は忠清北道の堤川(チェチョン)
LPバーを謳っていなくても、CDを揃えている店は珍しくない