新作ドラマ『ニュートピア』はゾンビ禍のソウルで離ればなれになった会社員ヨンジュ(ジスBLACKPINK)と軍人ジェユン(パク・ジョンミン)の物語だ。

 当初は軍隊ものとラブストーリーとゾンビものを盛りつけたビビンバ的なドラマかと思って観ていたが、ところどころにキラッと光る演出を発見した。第4話でヨンジュ一行に加わった大学浪人生(タン・ジュンサン/『愛の不時着』『ラケット少年団』)の存在もそのひとつだ。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『ニュートピア』でタン・ジュンサン扮する浪人生が象徴する、韓国社会の息苦しさ

 本作で浪人生が登場したのは第4話。路上で吐いているところを、ヨンジュに声をかけられ同行することになる。

 ゾンビに噛まれ感染しているにもかかわらず発症しないのは、酒浸りだからだと判断された。すでに感染しているためゾンビに襲われない。そのため偵察をしたり、ゾンビの群れを突破したりするとき役立つので、都合よく利用されたともいえる。

 一行のうちの一人に、「酒ばかり飲んでるから二浪するんだ」などと罵倒され、「おまえに噛みついてやろうか」と怒るときもあるが、同行させてもらえることへの感謝は忘れないいいヤツだ。

ソジュのアルコール度数は1990年代と比べると5度くらい下がっているが、今も飲酒大国のイメージが強い韓国

 そんな彼だが、第5話で一行から離れることになる。そのときのひとことは、「家に帰って勉強しなきゃ」だった。

 一行は「感染しているのに何を言ってんだ、こいつ」とばかりにあきれかえるが、浪人生はこう続けた。

 「(勉強しておけば)元の世界に戻ったとき有利だからな」

 ゾンビ禍でこの世が終わろうとしているのに、浪人脱出を図ろうとする彼の言葉はあまりにも切ない。