タイトルに惹かれ、Netflixドラマ『ジャガイモ研究所』を見はじめた。大ヒット作『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のウ・ヨンウ(パク・ウンビン)の相手役で注目されたカン・テオの除隊後の復帰作として話題になっている。ヒロインのキム・ミギョンイ・ソンビン)が勤める食品会社の付属機関「ジャガイモ研究所」がМ&Aに遭い、騒動が起きるという物語だ。(以下、一部ネタバレを含みます)

■カン・テオ出演のNetflix話題作『ジャガイモ研究所』、韓国でカムジャ(ジャガイモ)という言葉のイメージとは?

『ジャガイモ研究所』では、カン・テオ扮する冷徹なソ・ベクホ理事の口からМ&AやR&Dといった体温の感じられない言葉がたびたび発せられるが、「ジャガイモ」=韓国語で「カムジャ」は、それに対抗する人間味のある言葉として機能している。

 日本にイモ兄ちゃん、イモ姉ちゃんという比喩があるように、韓国でも田舎者、野暮、朴訥、純情を象徴する言葉としてイモがよく使われる。イモで連想する地域と言えば、韓国人なら誰もが、ジャガイモを多く産する江原道(カンウォンド)を思い出すだろう。本作の設定上の舞台でもある。

 日本で言えば、北海道、東北、長野県のようなイメージだろうか。江原道の飾り気のない男をカムジャバウィ(ジャガイモ岩)と呼んだりする。

江原道と聞いて韓国人が思い出す風景はこんな感じ。写真はウォンビンラ・ミランの故郷、江原道旌善郡

■韓国でジャガイモ料理といえばタットリタン

 ジャガイモ(カムジャ)を使った韓国料理といえば、名前にカムジャが冠されているカムジャタンを思い出すだろう。

 ところが、じつはカムジャタンの主役はジャガイモではなく豚の背骨肉だ。一人用のカムジャタンと言えるピョヘジャンクッにはジャガイモが入っていないことが多い。

 ジャガイモ必須の料理といえばタットリタン(鶏肉と野菜の煮物)だ。タットリタンのトリは日本語の鶏に由来するので、純韓国語のタッポックムタンという呼称も生まれたが、今もタットリタンで通じる。

 日本で言えば肉じゃがに相当し、家庭でよく作られるので、親しい韓国の友達のお母さんが料理好きなら、ねだってみよう。日本の人が好きなタッカンマリの店のサイドメニューにもよくあるので、一度頼んでみてもよいだろう。

鶏肉とジャガイモ、ニンジン、タマネギなどを甘辛く煮込んだタットリタン

 ジャガイモ料理といえば、カムジャジョン(ジャガイモのチヂミ)も有名だ。フライドポテト感覚で食べられる。

ジャガイモのチヂミ、カムジャジョン