■“住む”ことはサバイバルだ――ドラマ『この恋は初めてだから』に映る現実

 韓国ドラマでも、家をめぐるリアルな問題が描かれることが増えている。

 たとえば、イ・ミンギチョン・ソミンが主演のラブコメディ『この恋は初めてだから ~Because This is My First Life』では、保証金なしの月払い物件を探す女性と、数億ウォンの住宅ローンを抱える男性が、「家を得る」ためだけに契約結婚を決意する。

 チョンセやウォルセといった韓国特有の賃貸制度が、若者の生き方や恋愛観にまで影響している現実を、コミカルさを交えつつも痛烈に描いた作品だ。

 夢や恋愛、結婚すらも「まずは住む場所があってこそ」と諦めるしかない――そんな若者たちは「N放世代(=恋愛、結婚、出産、就職など、人生のいくつものステップを諦めざるを得なかった若者たち)」と呼ばれる。

 彼らが必死に守ろうとする「小さな生活」は、私自身の体験ともどこか重なる。ドラマはフィクションかもしれない。でも、そこに映し出されているのは、まぎれもない韓国の「住」のサバイバルだ。

『この恋は初めてだから ~Because This is My First Life』(C)STUDIO DRAGON CORPORATION

●作品情報

『この恋は初めてだから ~Because This is My First Life』

[2019年/全16話]演出:パク・ジュンファ 脚本:ユン・ナンジュン

出演:イ・ミンギ、チョン・ソミン、キム・ミンソクキム・ガウン、パク・ビョンウ、イ・ソム

(C)STUDIO DRAGON CORPORATION