「韓国ドラマの葬式での会食シーンに、ユッケジャンがよく出てくるのはなぜですか?」と、SNSの日本人フォロワーの方から質問を受けた。
韓国人にとって、葬式のユッケジャン(牛肉と野菜の辛いスープ)は、結婚式にチャンチククス(素麺)が出るくらいあたりまえのこと。だが、日本の人にとってユッケジャンは焼肉の締めに食べる辛いものというイメージがあり、どちらかというとハレとケのハレが似合いそうだから違和感があるのかもしれない。
■韓国では葬儀の会食に供されるユッケジャン、そのルーツは?
2024年の百想芸術大賞の映画部門で監督賞(チャン・ジェヒョン)、女性最優秀演技賞(キム・ゴウン)、男性新人演技賞(イ・ドヒョン)を受賞したヒット映画『破墓/パミョ』にも、葬儀に関わる者たちにユッケジャンがふるまわれるシーン(セリフ)があった。
『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』のファン・ジョンミンと少女時代のユナ主演で、全15話のタイトルが毎回食べものだったドラマ『ハッシュ~沈黙注意報~』では、葬式のシーンがある第3話のタイトルが「ユッケジャン」だった。
パク・ヘイルとシン・ミナ主演映画『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』の冒頭の葬祭場のシーンで、主人公(パク・ヘイル)と先輩(クァク・ジャヒョン)がソジュを飲みながら食べていたのもユッケジャンだった。
かつて朝鮮半島では、夏の暑い日に犬肉を使ったスープ「ケジャン」を食べる風習があった。そのとき、犬肉が食べられない人のために代わりに牛肉を入れたものがユッケジャンのルーツと言われている。ケジャンと区別するために牛肉を意味するユッ(肉)を頭に付けたのだ。
牛肉でダシをとったスープが湯気を立て始めたら、裂いた牛スネ肉、刻んだ長ネギやワラビ、それに干したサトイモの茎(日本で言うズイキ)などを入れ、唐辛子粉と唐辛子油を加えてさらに煮込む。少し固めに炊いたごはんを真っ赤なスープに入れて食べると美味しい。
