■真っ赤なユッケジャンには厄除け効果も

 葬儀の会葬者に対するもてなし料理としてユッケジャンが定番になったのはなぜか?

 これはユッケジャンの鮮紅色が関係している。赤には厄除け、邪気払いの意味があるので、葬儀のときの料理として定着したという説が有力だ。日本で言うお清めのような意味合いである。

 また、大鍋でつくり置きができ、何度も煮直せるので効率的。時間が経っても味が変わらない。唐辛子効果で腐敗の心配がないからという説もある。

 そして、昔から牛肉は高級食材なので、会葬者に感謝を表す食べ物にふさわしいということもあったろう。

 1990年代の後半、筆者が埼玉県の焼肉店でアルバイトをしていた当時、日本の韓国料理=焼肉、キムチで、今のような多様性はなかった。それなのに、焼肉店のサイドメニューにかならずと言っていいほどユッケジャンがあったのが不思議だった。

 韓国ではユッケジャンの専門店はなくはないが、多いとは言えない。韓国で食べたくなったら、ビジネス街の雑居ビルにある大衆食堂に行くと出合える可能性が高いだろう。

ソウルの大衆食堂のユッケジャン