『孤独のグルメ』の松重豊と韓国の人気バラード歌手ソン・シギョンが、日本と韓国で食べ歩きするNetflix『隣の国のグルメイト』。
日韓対決編に突入したシーズン2の第4話は、3話の福岡のとんこつラーメンへの返礼として、ソン・シギョンが松重をソウルのスンデクッパ屋に案内した。その店でソンと松重がスープをすすっているシーンが3話終盤の予告編にちらっと映ったので、筆者は二人の向こうに見えた反転文字の店名だけを頼りに紫陽洞(チャヤンドン)に食べに行ってきた。
■Netflix『隣の国のグルメイト』登場のスンデクッパ屋、大衆的な飲食店の魅力は「味」「人」「雰囲気」
魅力のある飲食店というのは人それぞれだろうが、筆者は料理の「味」と同じくらい、店の「人」と「雰囲気」を重視している。その意味で、日本からの旅行者にはあまり縁のなさそうなソウルの広津区(クァンジング)紫陽洞(チャヤンドン)にある「マッチョウン・スンデクッ」は、百点満点といえる店だった。
まず「人」だが、この店の女将は韓国人であろうが、外国人であろうが分け隔てなく笑顔で接する肩の力の抜けた人だった。
11時の開店と同時に店に入ったが、テーブル席と座敷には先客がいた。筆者はこの店のスンデクッの具を見てあることに気づいたのだが、それを女将に直接聞くのは失礼かなと思い、不躾だが隣席のカップルにそっと話しかけた。二人はあやしげな外国人の疑問に快く答えてくれたのだが、女将はそれを静かに見守ってくれていたようだ。食べ終えて会計するとき、なんと筆者の疑問により明確に回答してくれたのだ。
番組4話の冒頭には店の主人も少しだけ登場していた。朝4時に店に現れ、7時間かけてスープを煮込む寡黙な主人と笑顔の女将は、大衆食堂の鏡である。
