韓国ドラマには群像劇が多い。様々な事情を抱えた登場人物がどんどん出てきてストーリーを縦横に動かしていくのが、韓国ドラマの真骨頂なのである。その中で、若者たちの夢と情熱、恋模様を描いた「青春群像劇」ベスト3を選んでみよう。(以下、一部ネタバレを含みます)

■韓国ドラマの真骨頂、青春群像劇「ベスト3」

■『二十五、二十一』(2022年)

 物語で中心的に描かれるのは、フェンシングでオリンピック3連覇を達成したナ・ヒドキム・テリ)と、苦学生からニュースキャスターに成長していくペク・イジンナム・ジュヒョク)の素敵で切ないラブストーリー

 その2人に加わってドラマを盛り上げるのが、コ・ユリム(キム・ジヨン)、ムン・ジウン(チェ・ヒョヌク)、チ・スンワン(イ・ジュミョン)の3人。それぞれキャラがとても生き生きしていて、珠玉のサイドストーリーを作ってくれた。

 象徴的なのが、5人で出かけた「夏の修学旅行」。海辺ではしゃぐ5人の若さがまぶしくて、青春群像劇の名シーンとして記憶に強烈に残っている。

●配信情報

Netflixシリーズ『二十五、二十一』独占配信中

[2022年/全16話]演出:チョン・ジヒョン 脚本:クォン・ドウン

出演:キム・テリ、ナム・ジュヒョク、キム・ジヨン/ボナ、チェ・ヒョヌク、イ・ジュミョン

■『コーヒープリンス1号店』(2007年)

 このドラマは、物語の設定が絶妙だ。イケメン男性しか採用しないカフェで男装した女性が働くという展開が面白い。演出のイ・ユンジョン監督も「男装した女性がヒロインなのが大事なポイント。心は完全に傾いているのに、相手が男であるということで複雑な気持ちになる。そこを細かく描いていけば、ラブストーリーでも一味違うものになると思いました」と企画の狙いを語っている。

 主役クラスは4人。みんな育った家庭環境が複雑だった。資産家の長男として生まれながら父の不倫に苦しめられたハンギョル(コン・ユ)。幼い頃に父親を失い母と妹を養わざるをえないウンチャン(ユン・ウネ)。浮気者だった母によって虐待されながら育ったユジュ(チェ・ジョンアン)。両親はともに著名で忙しい学者なので独りぼっちが多かったハンソン(イ・ソンギュン)。この4人は深い影を抱えながら必死に生きていた。

 そんな中で、ハンギョルの祖母は、所有するカフェの経営の成功をハンギョルに厳命。しかし、そこはボロボロのカフェだった。そこで、ハンギョルはカフェを「コーヒープリンス」と名付けて、人気を呼ぶためにイケメンばかりを集めようとした。そこに、男装したウンチャンが入ったから、様々な騒動が持ちあがる。その騒動の行方が本当にスリリングだった。