●オジンオティギム(イカの天ぷら)

 ティギム(揚げもの)は香ばしいのでビールのつまみに最適だ。醤油または醤油ベースのタレで食べてもいいが、松重豊とソン・シギョンが福岡の店でそうしていたように、筆者が同席した日本人の多くが塩をつけて食べていた。韓国の揚げものは日本のそれと比べると、温度や油の選び方については繊細さに欠けるので、強くはおすすめしない。

イカとタコ料理専門店のオジンオティギム(ソウル江南

オジンオスンデ(韓国式イカめし)

 スンデといえば、豚の腸詰のことだが、オジンオスンデは、はらわたを抜いたイカに牛肉やモヤシ、豆腐などを詰めたもの。朝鮮戦争のときに北側から避難してきた人々が南側にもたらしたもので、避難民村としてよく知られる江原道・束草(ソクチョ)の青湖洞(チョンホドン)に専門店が集まっている。

 筆者も何度か日本の人といっしょに食べたことがあるが、喜ぶのは二人に一人。韓国各地でいろいろなものを食べた人向けの上級編的な料理だと思う。

ソウルにあった北朝鮮料理店のオジンオスンデ(中央)