隣のテーブルに座っていたのは、近くの会社で働いているようなOLふたり組だった。テーブルの上を見ると、僕と同じどじょうの原型鍋である。
「いつも1万5000ウォンの鍋なんですか」
案内役の日本人女性が訊いてくれた。
「どじょう鍋は高いから、そんなに何回も食べれません。でも、いつも1万5000ウォンのほう。こっちのほうが体にいい気がして」
同僚らしき女性も頷いていた。
帰り際、案内役の日本人女性は店の人にも訊いてくれた。
「そうですね。どじょうの形がわかるほうを好まれますね」
僕は薄い笑みを浮かべるしかなかった。
日本同様、今年の韓国は暑い。7月31日の時点で、7月の熱帯夜は22日を数えたそうだ。1908年に観測がはじまって以来、最多記録を更新したという。1ヵ月で22日──もう毎夜、熱帯夜のようなものである。
どじょう鍋屋は今日も繁盛しているのに違いない。