また、もっとも個性的な風貌と豪傑ぶりで印象を残したパク・ソンウン、いまや母親役の代名詞となったキム・ミギョンの出世作としてはもちろん、タムドクの子供時代を演じたユ・スンホ、スジニ役のシム・ウンギョン、キハを演じたパク・ウンビンと、今、主役級で活躍する俳優たちの瑞々しくも脳裏にしっかり残る演技の数々も必見。本作のキャスティングの妙を改めて実感する。

 一方で、四神の神物を手に入れるために百済新羅の地へ向かうのは、高句麗の領土を拡大した広開土王の遠征のルートにほかならない。

 タムドク一行は、貨物船で川を下り攻略した昔賢〈ソッキョン〉城、四神の一人、青龍のチョロが守っていた関彌〈クァンミ〉城を攻略するが、これは即位1年目の百済遠征ルートと同じだ(※劇中では西百済という今現在の地域とは別の地方を想定されている)。また、終盤、タムドクが百済のアシン王の降伏を受け入れるのも、後燕と戦うのも、すべて記録に残っている。

 高句麗らしいところでいえば、やはり、五大部族の存在だ。ホゲの父で、桂婁〈ケル〉部の族長であるヨン・ガリョが、タムドク排除を狙って熱弁をふるうのは諸加〈チェガ〉会議。また、ホゲ率いる黄軍が撃毬(ポロのような競技)で戦う黒軍は、黒部とも呼ばれる絶奴部〈チョルノブ〉の面々だ。本作で、唯一タムドクに従う絶奴部の族長がスジニを養女にしてタムドクの妃にと考えるエピソードも、絶奴部が王妃を輩出してきた部族だからかもしれない。

●作品データ

『太王四神記』U-NEXTHuluLeminoPrime Videoほかにて配信中

[2007年/全24話]演出:キム・ジョンハク『砂時計』『シンイ-信義-』 脚本:ソン・ジナ『砂時計』『シンイ-信義-』『王は愛する

出演:ペ・ヨンジュン、ムン・ソリ、イ・ジア、ユン・テヨン、パク・サンウォン

■高句麗ドラマで覚えておきたい人物

●コ・タムドク(高談徳)

高句麗19代王(在位:391年-412年 ※392〜413年とする記録も)広開土王〈クァンケドワン〉。18代故国壌王の息子。広開土太王、好太王と記すことも。高句麗の領土を拡大させた英雄であり、「韓国のアレキサンダー大王」とも称される。百済や新羅はもちろん、当時高句麗の西方にあった後燕、北方の契丹とも戦った。また、その功績を称えるために、その子である長寿王が414年に建立した「広開土王碑」には、4世紀末から5世紀初頭の朝鮮半島と日朝関係史を知る上で貴重な碑文が刻まれている。

●コ・ウン(高雲)

後燕5代皇帝。高句麗王族出身。前燕の2代皇帝・慕容宝に気に入られ、養子となり、慕容雲と名乗った。劇中では、チョン・ジェゴンが演じ、タムドクのもとを離れたスジニが身を寄せていたり、政敵から後燕の太子を守った際、その功績としてタムドクに天弓が記された巻物を渡すといった役割をしている、ドラマ『広開土太王』では、コ・ウンが非常に重要な人物として描かれる。