■韓国人が食材を混ぜて食べたがるのはなぜ?

 韓国人が複数の食材を混ぜて食べるのはなぜか? これには諸説あるが、そのひとつに、食べ物を分かち合うことが重視されたかつての農耕社会では、食材を混ぜたりスープにしたりすることで、より多くの人に食べ物を行き渡らせることができたというものがある。

 また、韓国の経済が発展していなかった時代は食材の質がよくなかったので、ごちゃ混ぜ(ビビンパ)、あるいはごった煮(チゲ)にして濃くて辛いソースで味をまとめると美味しく食べられたという説もある。

 我が国が一定の豊かさを獲得した今、こうした食文化は形骸化していると言えるかもしれない。しかし、長年の習慣というのは簡単には変わらない。日本の人からは野暮ったいと言われるかもしれないが、筆者は混ぜる食文化に愛着を感じてしまう。

 その一方で、韓国人が日本を旅する機会が増大し、ひとつの食材をシンプルに味わう日本の食文化にふれる機会は激増している。そうなると、混ぜる食文化は衰退していく可能性もあるだろう。

全州のビビンパは数多くの野菜を盛り、コチュジャンを加え、生卵を載せれば完成

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