Netflix新作ドラマ『暴君のシェフ』が連日人気ランキング上位に入るなど、大きな注目を集めている。イム・ユナ(少女時代)が演じるヨン・ジヨンは、パリでミシュラン3つ星を獲得したレストランのヘッドシェフだ。料理大会で優勝した直後にタイムスリップして朝鮮王朝時代に入り込み、イ・チェミンが扮する国王イ・ホンと劇的に遭遇。その後は生きるために、暴君の料理番になっていく。(以下、一部ネタバレを含みます)
■Netflix最旬人気作『暴君のシェフ』見どころ、物語を動かす4人の登場人物
『暴君のシェフ』がこれほど高い人気を博している要因として、「時空を超えた奇抜なストーリー」「ドラマに登場する豪華料理の華やかさ」「主人公2人の魅力」などが挙げられる。それと同時に、王宮内の権力闘争も物語に厚みを加えている。
今回は特に、ストーリーを大きく動かす4人の登場人物にスポットを当ててみよう。
まずはインジュ大王大妃(ソ・イスク)。彼女はイ・ホンの祖母である。夫と息子が国王であったが、両者が亡くなったことで絶大な権力を手にした。その力を背景に、イ・ホンを国王に押し上げることができた。
しかし、彼女には、イ・ホンの母を廃妃にした過去があった。
ここで歴史に詳しい読者はピンときたかもしれない。イ・ホンは燕山君(ヨンサングン)を彷彿させるのだが、彼も母が廃妃になっている。その「廃妃尹氏(ユンシ)事件」を主導したのが、歴史上で名高い仁粋(インス)大妃であった。まさに、インジュ大王大妃は仁粋大妃そのものだった。
こうして『暴君のシェフ』は歴史劇として史実を再現する物語構成にもなっている。劇中でインジュ大王大妃は、嫁の廃妃問題の真相が明らかになることを恐れ、常に心を乱している。それゆえ、鋭い鷹の目でイ・ホンを監視せざるをえなかったのだ。
次に取り上げるのがチェサン大君(演者チェ・グィファ)だ。先王の異母弟であり、イ・ホンの叔父だった。彼は命を守るために愚か者を装いながら生き延びた。常に無邪気に見えるが、仮面をかぶっているだけであり、冷酷で非道な魂が潜んでいた。