南北分断を背景としたポリティカルサスペンス+ラブロマンスディズニープラスで配信中の『北極星』は、ひとことで言うと、そんなドラマだ。(以下、一部ネタバレを含みます)

 物語の背景は南北統一問題を争点とした大統領選挙前の現代韓国。最初にクローズアップされる人物は国会議員で次期大統領候補チャン・ジュニク(パク・ヘジュン)。彼は教会で礼拝中、軍服姿の青年が発した凶弾に倒れる。目の前で夫を殺された国連大使ソ・ムンジュ(チョン・ジヒョン)は、やがて自ら大統領選出馬を決意するが、ムンジュも何者かに命を狙われる。それを助ける謎の男がペク・サンホ(カン・ドンウォン)だ。

■チョン・ジヒョン&カン・ドンウォン主演の話題作『北極星』注目の主要キャストたち

■主人公の夫チャン・ジュニク役、パク・ヘジュン(1976年生まれ)

 2025年は俳優パク・ヘジュンの当たり年と言っていいだろう。大ヒットドラマ『おつかれさま』では、エスン(IU)の夫の若い頃を人気俳優パク・ボゴムが演じたため割を食うかと思いきや、成人後も愚直で家族思いの夫、父を演じて涙を誘った。

 また、クライムアクション映画『野党』ではユ・ヘジンカン・ハヌルとともに主演し337万人を動員。ドラマ『初、恋のために』では相手役のヨム・ジョンア相手に素朴な二枚目役を、ドラマ『エマ』では悪徳芸能記者を好演。そして、『北極星』では、第1話で役割を終えるものの、志半ばでこの世を去った政治人を熱演した。

 端正な顔立ち、185cmの体躯、釜山訛り(釜山生まれ)など俳優としてはかなりのハイスペック。幅広い役柄を演じながら来年、50代の円熟期を迎えるので、今後は映画やドラマの単独主演もありそうだ。

■大統領候補ソ・ムンジュ役、チョン・ジヒョン(1981年生まれ)

 寡作なチョン・ジヒョンが最後に出演したドラマは2021年の『智異山』、映画は2015年の『暗殺』。『北極星』は満を持しての登場だ。

 日本でドラマ『冬のソナタ』が大ヒットする前、映画『猟奇的な彼女』でチャ・テヒョンとともに脚光を浴びた数少ない韓国人俳優のひとりだ。

 2012年の映画『10人の泥棒たち』や2013年の大ヒットドラマ『星から来たあなた』に出た頃までは娘っぽさが健在だったが、『北極星』では知的な大人のムードを醸し出している。

 16歳の頃からモデルや女優として活動している経歴の長さから、そろそろ50代かなと思いきや、まだ40代前半。『星から来たあなた』ですでに中華圏でもスターだが、『北極星』でも披露しているように英語が堪能で、化粧品のCMでは中国語、映画『暗殺』では日本語もこなしているので、国際舞台での活躍もさらに期待できそうだ。

『北極星』第1話終盤、サンホ(カン・ドンウォン)は写真右手のホテルPJ脇の空中歩行路からムンジュ(チョン・ジヒョン)を尾行する者たちを監視していた    
『北極星』第1話と2話に何度か登場する青瓦台(大統領府)