数多い韓国ドラマの中で、多様性があって魅力的なキャラがどんどん出てくる推しドラマを選んでみよう。新刊『韓国ドラマ究極ベスト選 史上最高の韓流傑作は何か』(双葉社)では、多様性を具体化する秀作ドラマ10作を取り上げている。ここでは、そのなかから3作のエッセンスを紹介する。(以下、一部ネタバレを含みます)
■韓国ドラマの多様性が楽しめる秀作、究極3選!
●『瑞草洞<ソチョドン>』(2025年)
物語の舞台はソウルの瑞草洞。周囲には裁判所があり、多くの法律事務所が軒を連ねている。ドラマは、その法律事務所で給料を得ているアソシエイト弁護士たちの日常と葛藤を描いている。
中心人物はランチ会に集う5人の若き弁護士たち。アン・ジュヒョン(イ・ジョンソク)、カン・ヒジ(ムン・ガヨン)、ハ・サンギ(イム・ソンジェ)、ペ・ムンジョン(リュ・ヘヨン)、チョ・チャンウォン(カン・ユソク)である。
会話はリズム感にあふれ、香ばしい料理の湯気のようにテンポよく弾む。笑いと皮肉、希望と諦めが交錯する食卓は、視聴者を自然とその場へ誘う。まるで、見ている人もその場の一員になったかのような錯覚を覚えるほどだ。
その一方で、弁護士である以上、どんなに避けたい仕事でも真摯に向き合わざるを得ない現実がある。『瑞草洞<ソチョドン>』は、そのシリアスな側面を描写しながら、人間の誇りと弱さを鮮明に照らし出す。このドラマはまた、都会の片隅に生きる人々の苦味とぬくもりを同時に感じさせる群像劇でもある。
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●『ジョンニョン:スター誕生』(2024年)
1950年代の港町・木浦(モッポ)。キム・テリが魂をこめて演じる主人公ジョンニョンは、魚を売りながら日々を生きる少女である。貧しさの中でも、彼女の瞳には真っ直ぐな光が宿っていた。
彼女は生まれながらにして、神が授けたような澄み渡る歌声を持っていた。しかし、母(ムン・ソリ)は、その才能を人前で輝かせることを決して許さなかった。ほんの少しでも歌えば、烈火のように怒られ、納屋に閉じ込められる――その理由を誰も知らなかった。
だが、偶然にチャンスを得たジョンニョンはソウル行きを決意し、「梅蘭(メラン)国劇団」のオーディションに挑戦した。幸いに、補欠ながら研究生になることができた。
ただ歌を信じて精進するジョンニョン。ドラマは、ひとりの少女が歌手をめざして羽ばたく姿を、鮮烈な情熱と切ない抒情で描いていた。そして、母がジョンニョンの歌を許さなかった理由もやがて明かされる。そこには、数奇な運命が苛烈に見え隠れしていた。
・配信情報/『ジョンニョン:スター誕生』ディズニープラス スターにて独占配信中