韓国ドラマの中でも特に人気が高いカテゴリーが時代劇だ。過去にはレジェンド級の傑作がたくさん誕生しているが、最近もレベルが高い作品が輩出している。新刊『韓国ドラマ究極ベスト選 史上最高の韓流傑作は何か』(双葉社)で取り上げた時代劇名作選のなかから、今回は傑作三部作と呼ぶべき必見3作を紹介しよう。(以下、一部ネタバレを含みます)
■人生の深みを見せてくれる韓国時代劇の名作「究極3選」
■『赤い袖先』
このドラマは、「王族男子と宮女の時代を超えた至上の愛」を柔らかな光に包んで描き出している。静かに揺れる灯火のような情緒が全編を流れ、繊細で澄んだ映像の旋律が視聴者の心に降りそそぐ。
その圧倒的な美しさは、チョン・ジイン監督の感性と撮影監督・照明監督の呼吸が重なり合った結晶であった。演出・脚本・撮影の三位一体が、ひとつの世界を完璧に立ち上げた稀有な作品だと言える。
主人公カップルの演技も輝きを放っていた。イ・サンを演じたジュノ(2PM)は、史実の細部を常に心に描きながら役に臨んだという。その積み重ねが生んだ堂々たる表現力は、多くの視聴者を魅了した。
また、子役時代から豊かなキャリアを積んできたイ・セヨンは、抑圧の時代にあっても自由な魂を燃やす宮女ソン・ドギムを、深い情緒で見事に演じ切った。
●作品情報
『赤い袖先』
[2021年/全17話]演出:チョン・ジイン、ソン・ヨナ 脚本:チョン・ヘリ
出演:ジュノ(2PM)、イ・セヨン、カン・フン、イ・ドクファ
(C)2021MBC
■『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』
時代を超越した異端児のイ・ジャンヒョン(ナムグン・ミン)。彼は非婚主義者でありながら、通訳官として誰よりも鮮やかな才能を発揮し、どんな場面でも軽やかに生きていた。
本来ならどんなことにも固執しない男なのに、魔法に触れたように純粋無垢なお嬢様ユ・ギルチェ(アン・ウンジン)に心を奪われていく。その危うくも甘い始まりを、大地を揺らす清国の大軍が切り裂いた。
緊迫した情勢の中で、ジャンヒョンとギルチェの想いは激しくぶつかり合い、時に痛々しいほどの情熱を帯びて交差する。その過程で、世間知らずだったギルチェが驚くほど強い女性へと成長していく。それでも、混乱の中で彼女は清国の瀋陽へ連れ去られてしまう。その際、ジャンヒョンはギルチェを守るために全てを投げ出していった。
かつては優雅で余裕のあった男が、愛する人のために泥にまみれて戦う。その姿には、胸を締め付ける深い悲壮感があった。
●作品情報
『恋人〜あの日聞いた花の咲く音〜』
[2023年/全21話]演出:キム・ソンヨン、イ・ハンジュン、チョン・スジン 脚本:ファン・ジニョン
出演:ナムグン・ミン、アン・ウンジン、イ・ハクジュ、イ・ダイン
(C)2023MBC


