韓国の仁川国際空港での出国。セキュリティーチェックに時間がかかる。とくに午後は混みあい、チェックの手前に長い列ができる。その対策として空港はスマートパスをすすめている。事前に登録しておけば、出国するときは搭乗券をスキャンし、顔認証レーンに進むと、短時間でセキュリティーチェックコーナーに入ることができるというものだった。
■仁川国際空港のスマートパスを登録、実際にスマートパスレーンで顔認証してみると……
スマートパスの事前登録をしようと思った。事前登録は、空港のセルフチェックインキオスクか自分のスマホでもできるようだった。セルフチェックインキオスクというのは、空港に設置されている自分でチェックインができる機械のことだ。
昨年(2024年)、事前登録をしようと、このふたつの方法でトライした。しかし最後の顔を登録する段階でことごとく失敗してしまった。何回やっても、再度登録の指示が出てしまう。20回以上は繰り返しただろうか。ところが、「これでダメなら諦めよう……」とセルフチェックインキオスクで登録を進めると、なぜかうまくいった。
さっそくスマートパスレーンに並んだ。通常レーンは長い列ができていたが、こちらはほとんど人がいない。
「これで早くセキュリティーチェックコーナーに進める」
僕の前には1組の韓国人カップルがいた。まず男性のほうが顔認証機械の前に立った。ところが認証されない。すると近くにいた空港スタッフが、隣の通常レーンに並び直すようにいったようだった。そこには長い列ができている。男性は少し不満そうに口を開いたが、スタッフは「だめ、だめ」といったボーズで手を振った。
嫌な予感がした。こういう場合、「再度トライしてみて」とか「もうちょっとちゃんと正面を見て」とか、認証されるためのコツを伝えてくれるものだ。ところはスタッフは1回けられたとたん、通常レーン並ぶように指示した。つまり「1回目でだめなら、何回やってもうまくいかない」ということのようなのだ。
「一発勝負か……」
前にいたカップルの女性は顔認証機械の前には立たず、ふたりでスマートパスレーンを離れていった。
僕の番である。緊張する。機械の前に立ち、画面をしっかり見つめる。「通してくれ」とモニターに念じる。
だめだった。
空港スタッフと目が合った。その男性は、前のカップルと同じように、隣の通常レーンに並べと指で示した。
「もう1回、やらせてくれない?」
そういったが聞き入れてくれなかった。スマートパスレーンでの顔認証を諦めるしかなかった。
通常レーンの長い列に着いた。僕の前にスマートパスレーンでけられたカップルがいた。視線が合った。
「僕もだめでした」
カップルの男性が苦笑いで応えた。
「さっき、友達に連絡したんだけど、彼もだめだったといっていました。どうも顔写真の登録をうまくやらないといけないみたい」
男性は英語で伝えてくれた。