韓国時代劇によく出てくる宮女といえば、最も印象的だったのが『赤い袖先』でイ・セヨンが演じたソン・ドギムだった。彼女は、ジュノ2PM)が扮した国王イ・サンの息子を産み、側室としての栄華を誇った。若くして亡くなったのは不幸であったが、『赤い袖先』ではイ・セヨンが抒情的な演技を披露してくれた。

朝鮮王朝時代、宮女の最大の野心は国王に寵愛されることだった

 朝鮮王朝時代の宮女の一生を見てみよう。

 幼少期から王宮に入った彼女たちは、見習いとして上司である尚宮(サングン)から徹底的に鍛えられた。厳しい監視下に置かれているかのような日々は、息が詰まるほど窮屈なものであったに違いない。

 研鑽を積んで一人前の宮女として認められるようになると、ようやく尚宮の元を離れ、数名で一室を共有する独立した生活が許された。そこは完全なる男子禁制の世界。閉鎖された女性だけの集団生活が日常だった。

 彼女たちは王宮で働く実務官吏と同じ。国家から相応の報酬を得る身分だった。支給される禄(ろく)は主に米や生地といった現物による支給が主流で、中には貨幣で直接給与を受け取る者も存在した。職位や職務内容に応じて対価が支払われるという点において、彼女たちは国家公務員としての側面も持っていた。

 そんな宮女たちにとって、人生における最大の野心は、国王に寵愛されることだった。万が一にも国王の目に留まり、その寵愛を一身に受けることができれば、宮女として望みうる最高峰の栄誉と権力を手にした。

 しかし、無数に存在する宮女の中から、国王の視界に入る位置まで進み出ることさえ至難の業であった。

 女性のみがひしめき合う職場において、彼女たちが給与のすべてを注ぎ込んで美しく着飾ることに執念を燃やしたのは、ひとえに国王の心を射止めたいからだった。けれど、どれほど大きな野望を抱こうとも、それを現実に叶えられるのは、美貌と運に恵まれたほんの一握りの存在に過ぎなかった。

 そういう意味で、『赤い袖先』でイ・サンに寵愛されたソン・ドギムは超エリートだ。

『赤い袖先』(C)2021MBC